2022年4月2日のハイパー縁側@天満橋は岸田俊徳さんと杉本容子さんをゲストにお迎えしました!
テーマは「水辺がもたらす天満橋の魅力」
「京阪シティモールを天満橋エリアのコミュニティ拠点にしよう」というテーマで、2021年6月から始まったハイパー縁側@天満橋。様々な角度から、累計18名のゲストの方に天満橋の魅力を語って頂いてきました!

そして、4月2日(土)・3日(日)の2日間は「ハイパー縁側フェス@天満橋」と題して、ゲストの方々が集結し、屋上で天満橋の魅力を体感できるフェスを開催。
青空ミニコンサートや屋上ヨガ、オーガニック野菜や日本酒・クラフトビールの販売など盛りだくさんの内容でした!子供たちが芝生に寝転がって本を読んだり、親子で工作に興じたりする姿も印象的でした!

16時からは、“水辺のスペシャリスト”のお2人をゲストに迎え、打ち合わせなし・スライドなしのまさにフリートークセッションがスタート!
お1人目は、Vol.3に登壇して下さった岸田さん。桜が満開のこの時期は繁忙期にあたる、水上バス会社で企画・宣伝・広報を担当されています。船を動かす為には、燃料の他にも太いロープが必要だと言います。ビール瓶よりも太いロープを何十メートルも使用し、古くなると捨てるので大量にゴミが出てしまいます。

今回は、水辺に興味をもってもらう切り口のひとつとして、その廃棄されるロープを、お守りやアクセサリーにアップサイクルするワークショップを開催。今後は、高校生の書道パフォーマンス用の筆として利用してもらうアイデアもあるそうです。

もうお一方、Vol.16に登壇して下さった杉本さんはまちづくり団体で活動し、堺筋本町駅近にある「β本町橋」の運営をされています。
「β本町橋」では、“いろんな人が水辺を使うと、まちが元気になるのでは”と、考えています。今回は、船のチャーターをコーディネートしたり、レンタルスペースとして利用できる“ハイブリット公民館”である「β本町橋」を紹介。さらに、まちづくりの会の会長さんが営む商店の出汁を提供して下さいました。全くえぐみがでない美味しい出汁は、「β本町橋」でも購入可能だそう。

お2人とも、天満橋をフィールドとした活動歴が15年以上で、天満橋のまちの変化を肌で感じてこられました。ちょうど桜が見頃の本日は、お花見客で川辺は賑わっていますが、20年ほど前はブルーシートも多く人通りも少なかったと話します。
そんな大阪の水辺エリアが、水都大阪の計画をきっかけに、変貌を遂げていきます。

岸田さんは、「本当に変わるんか?」と疑問をもっていましたが、まちがどんどん変わっていくのを目の当たりにしたと話します。2009年頃には、八軒家浜や川の駅「はちけんや」ができるなど、ハード面が綺麗に整えられました。
その反面、使い方や楽しみ方などのソフト面はまだまだ充実していませんでした。そんな中、『はちけんや体操』が始まり広がっていきます。

「はちけんや体操、僕がやってるんです!」と“体操のおじさん”を名乗る岸田さんは、力強く言います。ヨガインストラクターの珠数さん考案の『はちけんや体操』を、「はい!始めるよー!」と前に立ち率先して進めてきました。
フネヤの立場からすると、まちが賑わっていないと船に乗る人もいないと考え、そういった点も含めて川の駅「はちけんや」の運営にも関わってきたと話します。何もかもがゼロからのスタートだったので、『はちけんや体操』がまちの風景になるまでは時間がかかったそう。

“川とまちの融合”

『はちけんや体操』が広がることで、“川とまちが融合している”ことを感じている杉本さん。「“体操のおじさん(岸田さん)”がいるまちって素晴らしいまちです!」と大絶賛です。

「β本町橋」の立地に関しても、高速道路の高架下で以前は暗く怖いイメージの場所でした。しかし、「β本町橋」が完成して明るくおしゃれな空間ができると、今まで水辺に来なかった人や、まちとの関わりが薄かったような人達が集まるようになった、と杉本さん。この経験から、川辺が変わり、まちが変わっていく可能性を感じています。

水上で船を走らせている岸田さんから見る天満橋の魅力は、みんながしっかりルールを守っていることだと話します。だからこそ、今の賑わいがあると岸田さん。
エンジンがついている大きな船も走り、レガッタやサップも浮かぶ大川。ルールを作らないと事故も起きる可能性も。この界隈では、サップは午前10時までをベースに活動しており、道路標識ならぬ川用の標識もあるそうです。川に細やかな自主ルールがあるのは大阪だけ、と杉本さんも誇らしげに語ります。

20年近く前、「こんなに水辺があるのに、どうして誰も使っていないのか?」と、シンプルに疑問を抱いていた杉本さん。ピクニックをしたり、仕事帰りに仲間とビールを持ち寄り作戦会議をした思い出が原点にあるそう。川は“何かが生まれる場所”だと感じていて、そこが水辺の魅力だと杉本さんは話します。

自由な発想をもちパワフルに活動する人達とそれを受け入れる度量が川辺にはある、と岸田さんも考えます。自分たちがやりたい事をする時にはルールを守りながら、新たにルールを作ったりギリギリを攻めながら面白いことをすることが大事。また、水辺はチャレンジをしやすい雰囲気が出来上がっていると感じています。お二人は“怒られても失敗してもいい”という場所であり続けたいと口を揃えます。

陸でできるものは完璧に作られているものが多く、関わりしろが少ないように感じると杉本さん。一方で、無防備な川は「関わってくれ」と言わんばかりだ、と笑います。この“隙間”があるからこそ、面白い人やニッチな人が集まると岸田さんも賛同します。

次回のハイパー縁側フェスは時間をかけてコラボ企画を練り、新しいものを生み出したいと岸田さん。杉本さんは、「とりあえず決起集会をしよう!」と提案。意外と知らなかった人に出会えたり、最近活動を始めた人との出会いがありそうと話します。
今回は特別セッションで、水辺の魅力をお二人の異なる視点から語って頂く貴重な時間となりました。今後もハイパー縁側をきっかけに、水辺を楽しむ輪が広がって、新しい化学反応がおきていくことが楽しみです!

【岸田 俊徳】
大阪水上バス株式会社 企画宣伝課長
ミナミの劇場プロデューサーを経て、関西・大阪21世紀協会にて大阪の文化事業にかかわる。
2010年大阪水上バスに転職。過去の経験を活かし、現在、様々なクルーズを企画中。
また、ドラマや映画などのロケ誘致や小型船の操船など精力的にこなしている。
個人的な趣味として、コーヒーインストラクターの勉強中。
大阪水上バス公式WEBサイト
Instagram
Youtubeチャンネル「スイファン」
川の駅はちけんや公式WEBサイト
【杉本 容子】
株式会社ワイキューブラボ 代表取締役 / 一般社団法人水辺ラボ 代表理事
杜の都仙台生まれ、白砂青松湘南育ち、水都大阪に生きるまちづくり好き。
水辺や歴史的環境の魅力づくりを得意とし、NPO活動にも積極的に参加。民間特別任用により大阪府都市魅力創造局立ち上げの政策企画を担当した経験をもつ。
研究者・コンサルタント・行政マン・プレイヤー・お母さんなどまちに関わる様々な立場を実践し、まちづくりの新しいアプローチにトライし続けている。
2021年夏から水辺の拠点「β本町橋」の運営をスタートした。
大阪大学大学院 工学研究科 環境工学専攻 博士前期課程 修了。
株式会社ワイキューブ・ラボ
β本町橋