2021年7月30日のハイパー縁側は、天満橋で様々なクルーズを使ったイベントを企画されている大阪水上バスの岸田さんをゲストにお迎えしました!

トークテーマは「水上から眺める天満橋の魅力」。
自ら小型船舶免許を持ち、船の上のガイドをされる岸田さんから様々なお話を伺いました。

岸田さんはハイパー縁側@天満橋の開催場所、京阪シティモールの傍らにある大川(旧淀川)を走る水上バスの企画・運営をされています。

大阪市内であるにもかかわらず、都会の喧騒を離れて、ゆっくりのんびりした雰囲気を味わえる天満橋。
ゆったり穏やかに川を走る、大阪水上バスは今から約40年前の1983年に、大阪城築城400年祭を記念するコンテンツとして創業された、歴史的な観光船だそうです。

今では「大川」と呼ばれるこの川ですが、元は淀川の本流だったそう。淀川下流域にある最大の川として認識されていましたが、今では中津川という支流が今の淀川となっているそうです。つまり、わずか100年あまり前までは、大川こそが淀川であり、大阪繁栄の原点だったのです。

19世紀以前の大川には、北は北海道(北前船)、南は香川(金毘羅船)まで、日本各地を結ぶ船が通っていたといいます。
大阪城に用事がある人や、京都にお参りに行く人、商いをしている人が集い、現在の梅田とみなみを足して、さらに倍にしたほどの栄えた街だったと岸田さんは話します。

そんな歴史ある大川を舞台に活躍する岸田さんですが、ご出身は神戸市とのこと。元々大阪自体には興味はありませんでしたが、大阪弁にあこがれて(笑)、大阪にでてきたそうです。
大学時代には、今の活動のルーツにもなっている「お芝居」にのめりこんでいきます。

人前で話すのが好きだった岸田さんは、学生演劇以外にも、当時流行していた、中島らもやYMOのラジオやショートコントを聴き、見よう見まねでコントショーをされていたと話します。
30代前半までは俳優の道にどっぷり浸かっていた岸田さんですが、俳優の仕事のみではやっていけず、劇団のプロデュース業を始められたそうです。

“文化・歴史を後世に伝える”

岸本さんはお芝居や劇場自体の企画・演出をすることで、感情や思考を言語化する事の大切さを実感します。プロデュース業をはじめて10年。熱い想いをもった方々とのモノづくりに奮闘していましたが、「何かが足りない」と思い次のステップを探し始めます。感情や思考を言語化する事、モノづくりに携わる事を通して、次は『文化や歴史を後世に伝えていく道』に進むことを決意しました。

プロデュース業を辞めた後、文化による都市の活性化をめざす「関西・大阪21世紀協会」を知り、その一員として活動を始め、とある縁で大阪水上バスを知り、いまから10年前に入社を決められました。
小型船舶操縦士の免許も取得し、張り切って入社をした岸田さん。しかし、入社したての頃はかなりハードな日々を過ごしていたと話します。入社してまもなくから、船の操縦とガイドを任された岸田さんですが、当然ガイドとしてはまだまだ未熟。お客さんには「間違えとるで」と指摘される毎日だったそうです(笑)

操縦士兼ガイドの重要な役目は、場の雰囲気やお客様の年代層、様子をみながら、話し方や提供する話題を変えていく事。俳優・劇団時代に培われていたエンターテイナーとしての力を存分に発揮することが出来たそうです。

入社して10年がたった今では、企画宣伝部として、船・川を使った斬新でユニークな企画を考案しています。これまでに企画したのは、ビールを楽しめるビアクルーズ、大相撲春場所応援のすもうクルーズ、水上で落語を楽しめるなにわ探検クルーズなどなど…。
特になにわ探検クルーズは新しい学びの形として、興味深い企画だったと話します。「野崎詣り」という落語は、大阪府野崎観音(別名慈眼寺)へ水路を辿ってお参りに行くという江戸時代の観光文化を題材にしたお話です。

落語家の方から噺を聞き学び、当時の様子を思い浮かべながら水路を辿ることで、体験型の学びを提供することができる、と岸田さんは話します。
どうしたら新しいお客様に興味を持ってもらえるのか、日々試行錯誤されているそうです。

大川を取り巻くエリアは大きく分けて3つに分けられる、と岸田さんは話します。一つ目は、都会・街としての側面。二つ目は自然。そして大阪城という歴史を繋ぐ側面。
近代の歴史と古くからの歴史、そして自然という3つの真ん中にある天満橋では、様々なことを学び、体験ができるのです。

今後も、水上での学びのインプットとアウトプットを促せる企画を生み出し、文化と歴史の継承にチャレンジしたいとお話しいただきました。
大阪水上バスを通して、人と人、人と街・文化を繋いでいく岸田さんの益々のご活躍がとても楽しみです!

【岸田 俊徳(きしだ としのり)】
大阪水上バス株式会社 企画宣伝部課長
ミナミの劇場プロデューサーを経て、関西・大阪21世紀協会にて大阪の文化事業にかかわる。
2010年大阪水上バスに転職。過去の経験を活かし、現在、様々なクルーズを企画中。
また、ドラマや映画などのロケ誘致や小型船の操船など精力的にこなしている。
個人的な趣味として、コーヒーインストラクターの勉強中。
大阪水上バス公式WEBサイト
Instagramアカウント:@osakasuijobus
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