2023年1月13日のハイパー縁側は、細川裕之さんをゲストにお迎えしました!
テーマは「新しい福祉?新しい観光?デザイン思考で事業化してみる。」

現在、オルガワークス株式会社の一員として、日々乃コーラの販売を始め様々な事業を展開する細川さん。
次に何をしようかと考えている時に、行政職員や看護師など「日頃から人の悩みを聞いてお世話をする人たち」の悩みを、飲食事業を通じて自分たちが聞く経験があり、これが必要とされている福祉だと感じたそう。

コロナ禍で生活環境や働き方が変わり、人間関係が断裂されたりと、意外と「ふつう」とされる人たちの悩みの行き場がない。日本全体でも重要になってくるテーマは福祉だと考えました。

そして始めたプロジェクトが、大正区にある古い長屋を活用した「ヨリドコ大正るつぼん」。細川さんたちは元々5年前から、単におしゃれに改修してテナント収入が入る形ではなく、その先の使い方をしたいと考えていました。

2年ほど様々な福祉事業者や行政の人たちの話を聞き、この長屋で福祉とアートと小商いを組み合わせようとしています!単にテナントを埋めようとやるのではなく、この場所に共感して「参画したい」人と一緒にやりたいと考えています。

福祉は、ここ20-30年は公的なお金ありきで成り立つものになっていると細川さんは話します。運営者は無理して儲けずともよく、サービス対価と国からのお金で成り立つとなると、ビジネス的には天井があり働いている方の環境が良くならない、賃金が上がらないと話します。

よりデザイン思考を入れて考えないといけないのは、福祉事業でありながらビジネスとしても拡大すること。そうでないと、働いている方もサービスを受ける方も、受ける対価が良くなっていかないと考えています。

この長屋では今、障がいを持つ方の就労支援施設を作ろうとしています。単に誘致して貸すだけではありません。例えばヴィーガンスイーツの開発には、細川さんも日々乃コーラの開発経験を生かして“べっちょりと”関わるなど、高付加価値の商品開発やブランディングを一緒に行っています。

そのような準備について、細川さんは自身を「ねちっこい」と話します。10年ほどかけて成熟していくブランドをつくりたいと考えると、準備期間が数ヶ月でリリースするのはよっぽどの瞬発力がないと難しい。手前の段階で時間をかけて色んな人の意見をもらい、ファンづくりをして作り込んでいると話します。

“一番身近で、いい具合の他人”

大事にしたいのは、“一番身近で、いい具合の他人の関係性”。他人でも自分の顔を知ってくれている人に、意外と大事な事や悩み事を相談したりするもの。そんな関係をつくれる装置をまちのなかに置くと、人の幸福度や暮らしぶりはどう変化するのかやっていきたいと考えています。

福祉と聞くと、問題山積ですよねと人の顔が曇ることも多いです。でも一番大事なのは、理想論を語ること。色んな世代の人が関わり、毎日笑顔で笑い疲れて寝るぐらいになったらええよね、をリアルな絵として掲げ、そのためにできることを小さくやることの繰り返しでしかないと話します。

またもう一つ、現在準備を進めているのが「ヨリドコ観光」。バスツアー会社の事業継承をして始めた観光事業です!
元々は旅行嫌いだという細川さんですが、旅行が嫌な自分でも行きたくなるサービスを提供できたら面白いのではと準備しています。今の日本が海外とやっていく上でも重要な産業が観光業だと考えています。

観光はもっと日常的で何気ないもの。地元の人達にとっては日常でも、自分にとってエキサイティングなものを体験するのが観光だと思っています。
これからの時代、旅行にいく大きな欲求として「学びたい」があると考えています。実際に行くことで感じて、帰った後の生活にも影響するような持って帰るものがある旅行です。

「映え文化」のような、全てを整えてきれいになったものを見に行って写真を撮る文化は峠を超え、良く見えるよう取り繕うことは拒絶される時代に来ている。その先にあるリアリティを、腹をくくって見せられることが大事だと考えています!

最後に、2025年の大阪万博についても「せっかくやるなら楽しまなあかん」と話します。やるなら自分たちもちゃんとやって楽しみきって、世界から来る人も楽しんでもらえるように。マイナスのこともあっても、プラスのこともこれだけあった!と言えるようにしたい。
“祭り”を通じて文化を作っていくムーブメントを、みんなで数年かけてやれる機会はそうない、楽しむしかないとお話されました!

常に動きながら考えを深め、さらに次の活動につなげていく細川さん。これからも事業を通じてどんなインパクトを起こしていくのか、楽しみです!

【細川 裕之】
オルガワークス株式会社 専務取締役 / プロデューサー
1978年生まれ、香川県出身。
アパレル、不動産、観光、福祉、食、クラフトコーラ 、教育、まちづくり、地域ボランティアなど、多岐に活動が広がる。
2023年春には大正区泉尾に「新しい福祉」を提案する施設「ヨリドコ大正るつぼん」の開業も控えている。
オルガワークス株式会社
ヨリドコ観光
ヨリドコ大正るつぼん
ハイパー縁側 Vol.278 ウェルビナ中津コラボ特別編 01〜中津が内包する両極的魅力とは?〜