2022年10月7日のハイパー縁側@中津は、大森 昌子さんをゲストにお迎えしました!
テーマは「“シェアさかい”集まって分け合う」

あいにくの雨ですが、着物姿が一段と艶やかでお似合いの大森さん。現在、阿倍野区の文の里商店街内にあるシェアキッチン&スペース『botan』の管理人をされています。そこで、「スナックまさこ」をオープンする日もあるそう。ママ姿の昌子さんに、まず『botan』の始まりについて教えていただきました。

上本町から引っ越して来られた大森さんご家族。内装業を営む旦那様(ひろしさん)と、デザインの仕事をする昌子さんの事務所を探していました。不動産屋に紹介してもらったのが、近所の文の里商店街にある空き店舗。内見に出かけると、そこに『あべのって』をきっかけに友人となった平川さんが、「何してるの?」とたまたま通りかかり、一緒に内見することに。

元手芸用品店である店舗は、長屋づくりでとても広く、階段が2つある面白い物件。ただ、事務所用の10畳くらいの物件を探していた大森さん夫妻にとっては広すぎました。改めて別の物件を紹介してもらうことにし、その日は帰路に着いたと言います。

その晩、ひろしさんと平川さんは、それぞれ「あの広いスペースで、何かできるんじゃないか?」と悶々として過ごしていたそう。翌日、2人が会って「あそこさ・・・」と同時に言い出し、現在の『botan』に繋がっていきます。

「よし、まちづくりしよう!」ではなく、場所ありきでスタートした『botan』。「どんな場所にする?」「誰に貸す?」と、3人で話し合いを重ね、シェアキッチン&スペースという形が見えてきます。そして、いよいよ物件を借り、DIYで工事を開始。

平川さんは、まちづくりの活動をしていて、とても顔が広い。一方、ひろしさんは内装業を営んでいるので、テキパキ作業をこなします。「まちづくりのプロ」と「場をつくるプロ」の2人を中心に、まちの人の力も借りて進めますが、工事を始めてオープンするまでは、なんと11ヶ月もかかったそう。阿倍野のサグラダ・ファミリアと言われてたんだとか。「出来上がる過程が好きな平川さんが、完成させないのが原因でした」と、昌子さんは笑います。

そんな中、昌子さんがしたかったことは、「まちづくりのプロ」と「場をつくるプロ」、それに絡まってくれるまちの人々に光を当てること。まちの人は、よそ者扱いせず優しくて面白い人ばかり。こっそり頑張っている人や、地道に力を貸してくれている人たちの魅力を知ってほしかった、と昌子さんは話します。

『botan』を運営していくにあたり、クラウドファンディングにも挑戦し、資金調達を行いました。その際、おもしろリターンのひとつとして考えたのが、「スナックまさこ」のボトルキープ。

『botan』を始める前から、職業や立場など関係なくフラットに、地域のことや悩みごとを話せる場に興味があった昌子さん。まさに銭湯がそうで、地域の中にあり、服も肩書きも脱いで、同じ空間で話ができる場所。同じように、スナックもそういう場だと教えてくれる人がいたそう。「やったらええんちゃう?手伝うよ」と声をかけてくれる強烈なサポーターも現れ、リターンのタイミングで「スナックまさこ」が生まれたと話します。

“みんなが喜んでくれるのが、楽しい。”

もともと、人前で話したり自分が注目されるのは苦手でした。しかし、ママとして立ってみると、周りのみんなが面白がってくれる事に気づきます。「よいしょ」って着物を着て、髪型もピシッときめてやってみたら、みんなが喜んでくれる。“ぬいぐるみを着ている感じ”と、昌子さん。本当の自分ではないかもしれないけれど、みんながぬいぐるみを着せてくれていて、それが楽しいと語ります。

ハイパー縁側に登壇してほしいという依頼も、ずっと断ってきた昌子さんですが、『AZU CURRY』を営む内藤あづ紗さんとの出会いがきっかけで変わったそう。「出たら。やってみたら。」と声がかかることはいいことだから、“まずやってみたら”と、アドバイスされます。みんなあんまり見てないし、そこまで期待していないし、大丈夫、という気持ちが大切。そこで、今まで断っていたことを、全部やってみるという姿勢にチェンジ。

やってみると、周りの目や反応を気にすることがなくなった、と昌子さんは言います。それよりも、周りが面白がってくれることの方が嬉しい、と笑顔で話します。そんな昌子さんの周りには、イベント企画者や、ホテル運営者、イラストレーターなど、様々な人が面白がって集います。さらに、その方々を目当てに『botan』に人が集まっているそう。

『botan』のキーワードは、「つどう・つくる・かけあわせる」。昌子さんは、特に“かけあわせる”という言葉が好き、と言います。元手芸用品店ということもあり、ボタンの4つの穴を、バッテンで縢るイメージ。シェアキッチンやスペースを勝手に使っておしまいではなく、そこで関わりをもてたり、コラボしたりということに繋がっていってほしい。そして、仲間づくり、思い出づくり、さらに、まちづくりに広がっていくのでは、と考えています。

場所作りの時点から人が集い、色々な人が関わって作り上げてきた『botan』。今後も『botan』は、チャレンジを応援する場所であり、誰のものでもなく、誰もが関われる場所だと昌子さんは話します。

「スナックまさこ」は、ひとつのコンテンツとしてありつつ、次は阿倍野の人にフォーカスして、魅力を発信することに挑戦したいそう。また、それぞれの面白いスペースを相互的に紹介してみたい、と昌子さん。

つい手伝いたくなる、私がいないとダメと思わせる、魅力たっぷりのママに、絶対にたくさんの人がついてくる。阿倍野の魅力発信もやろう!と、すぐに会場から声があがりました。たくさんの昌子ファンに囲まれて、とても暖かい空気感のハイパー縁側でした。

周りの人の助言を、しなやかに受け入れ、自分の糧にし、進化している昌子さん。人に褒められて、拒否したり謙遜するのではなく、“ギフトとして受け取る”というアドバイスも、しっかり守っています。
最後、会場の方々からのたくさんのお褒めの言葉も、「ありがとうございます!」と、笑顔で受け取られている姿がとてもチャーミングでした!

人前で話すのが苦手と言いながら、登壇して楽しいお話を聞かせて下さった昌子さん。何度も終了時間を確認しながらのソワソワのトークセッションの後は、3階で「スナックまさこ」のお時間。
『botan』名物ひろしカレーと明石焼き、クラフトビールで、まだまだ楽しい時間は続きます!

【大森 昌子(まーさん)】
シェアキッチン&スペースbotan 管理人
中津から御堂筋線でびゅーんと20分。
文の里商店街に昨年オープンしたシェアキッチン&スペースbotanの管理人さん。
人が好きで、虫は苦手。
おしゃべり好きで、人前で話すのは苦手。
あと、人と人をくっつけるのも好き。
ここ最近、地域を好きになることをおぼえて、面白い化学反応が巻き起こる快感を日々楽しんでいます。
3人姉兄の末っ子なので甘え上手。
みんなで何かをつくったり、発見したり。
人生で得たおせっかいの感覚を振りまいて困ったときにはあの人に聞け!と言われるような近所のおばちゃんでありたい。
せやさかい、今日の私のお話をきいてね。
あ、後ほどはスナックまさこでお待ちしてます。
シェアキッチン&スペース botan
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