2022年8月28日のハイパー縁側@新京極は、西澤摩耶さんと田中明さんをゲストにお迎えしました!
テーマは、「公園から未来へ。集まる・繋がる・始まる。」
2週にわたり5日間の開催予定で行われた『新京極夏祭り』。1週目の2日間は残念ながら天候悪化で中止となりましたが、予定していた催しを次週に延期したりしながら本日、最終日を迎えました。
「あっという間に過ぎてしまった」と振り返る、新京極商店街振興組合販売促進広報委員長で、みやげ屋『京のふるさと』店長でもある西澤さん。
今回、『新京極夏祭り』を開催したのは、商店街で夏のイベントが何もないことを気がかりに感じていたことがきっかけ、と言います。京都や近畿地方では馴染み深い地蔵盆の文化。少子高齢化で子どもが減少してきたことを機に取りやめたり、ここ数年は、コロナウイルスの蔓延を理由にやめる町内会も。西澤さんは、地蔵盆の文化を守り、そこで行われる「ふごおろし」を実現したい!と提案しました。
「ふごおろし」は、地蔵盆のハイライトと言われるイベントで、福引の形態のひとつ。1階でクジを引き、2階からロープウェイのように籠(ふご)に入った景品が降りてきます。景品が降りてくるまでの、ドキドキワクワクの待ち時間を含めて楽しい、と西澤さんは語ります。
今回、「ふごおろししましょう!」と発案すると、「何やそれ?」と周りはピンと来ない反応でした。西澤さんの知っている限りで、今行っている町内会は2町内のみだそう。「今やらないと、なくなってしまう」と感じた西澤さん。絵を描いたり、動画を見てもらって、説明するところから始まりました。設営も大規模なものとなった為、何度も無理かもしれない…と思いながらも、実現にこぎつけることができ、感無量と話します。
地蔵盆の運営は、各町内会が行います。ひとつひとつの町内が“まちづくりの核”であり、“町内の絆の連なり”でまちができている。町内の絆が壊れるとコミュニティがバラバラになるのでは、と西澤さんは危惧しています。
地蔵盆は子どもが主役として催されてきたという歴史がありますが、子どもが少なくなったなら大人が寄り合って飲み会を開いたり、おじいちゃんおばあちゃんが楽しめるコンテンツを考えればいいだけ、と話します。地蔵盆は、地域コミュニティの再確認の意味がある。今一度、町内の絆を見直すことが必要と西澤さんは考えています。
もう1人のゲストは、日本たばこ産業京都支社支社長の田中さん。奈良県ご出身ですが、中学校から大学までの10年間、京都の学校に通い続けました。社会人になってからも京都勤務が長く、京都は“第2の故郷”と話します。
2007年、京都市の条例で路上喫煙が禁止され、まちの数カ所に喫煙所が設営され始めました。2011年に、人通りの多い新京極公園にも喫煙所が整備されます。当時、公園の奥まったところに作るといたずらされるかもしれないと配慮され、入り口付近に作られました。しかし、公園の入り口に喫煙者がいることで、喫煙者以外の人が入りづらく、タバコを吸う為の公園になってしまっていました。
昨年のイベント時にも、喫煙所を移設することで人が出入りしやすくなるのではないか、という意見が出て、今回は地域の方と調整しながら、喫煙所を公園の後方に移設することが実現。公園に出入りする人の導線を確保することができ、フラッと入りやすい雰囲気に。また、喫煙所のパーテンションを高くして、煙がなるべく漏れないように工夫されています。
そして、その壁には、新京極公園の過去の歴史と、未来を感じることができる絵が描かれています。新京極の文化や歴史を発信する新たなスポットとなりました。地域、行政、企業が力を合わすことで、スピード感をもって移設を実現でき、“吸う方も吸わない方も快適に”という状態の近い形にもっていけたのではないか、と田中さんは感じています。
田中さんが学生の頃、新京極のまちに買い物に訪れたときは、治安も良くなく居心地のよい公園ではなかったそう。その公園の光景が変わり、また喫煙所の移設も実現し、生まれ変わった公園で夏祭りを行うことができ、この巡り合わせに感無量と話します。
今回、新京極通150周年という記念すべき年だったということもあり、150周年事業と連携し、大々的なイベントとなった『新京極夏祭り』。今後、持続可能な使い方をしていく為には、どんなイベントの在り方が必要か、考えを聞かせて頂きました。
“新京極ラバー”
「今週末、公園で何かしーひん?」と、誰かと誰かが繋がり、気軽に出店できたりイベントが続くような状態を目指したい、と西澤さん。やりたい人は自由に企画して活用できたらいい、と話します。
本日は飛び入りで、けん玉パフォーマーのともさんが、華麗なけん玉の技を披露して下さいました。このように、この場で日常的にパフォーマンスを披露することができたら、公園に賑わいをもたらします。
現在、取り組み中の「公園利活用トライアル事業」は、来年3月末まで続きます。社会実験として、この公園を活用しやすい期間なので、アイデアがある方は何でもやってみては、と田中さんも提案します。ただ、「何でも自由にやりたいように」という訳ではない。地域の方が望まないものではなく、参加したり応援したくなるようなものでないといけない、と指摘。地域の声をききながら行うことで、持続可能な公園利用に繋がっていくと、田中さんは考えています。
その為に、京都市を中心として、公園を使いやすくする“仕組み作り”が必要。その仕組みを整え、この公園から他の公園へ、全国の公園に波及していけたら公園がもっと楽しくなるはずです。
まずは新京極からと言うことで、西澤さんは「新京極ラバー」を募集中です。新京極のまちを好きな人が、1人でも増えてまちづくりに関わってくれたら。仲間が増えたら、新しい視点やアイデアが集まり、まちが変わっていくと語ります。
2年間に渡るおそとチャレンジを経て、すでに「新京極ラバー」が新京極のまちに集う気運は高まってきています。今回の『新京極夏祭り』では前回は参加してなかったり、関わりが薄かった方達が、新星のごとく現れ大活躍して頂きました。
日本たばこ産業の田中美紀さん(ご夫婦ではありません)や、京都市みどり政策推進室の岩澤さん、立誠小学校の跡地活用などに取り組む柏さん、新京極商店街振興組合の井本さんや、期待のホープの松尾さんなどもトークに加わって頂き、新京極の未来を語って下さいました!
地域、行政、企業、それぞれの立場や考えがある中で、どのように調和するのか、協力するのか、ということも模索できた『新京極夏祭り』。今後も、まちを好きな人が集まり、繋がり、仲間を増やしながら、新たな取り組みが始まっていきます。
一過性でなく永続的に発信し続けることで、「新京極ラバー」の輪もますます広がっていきそうです!
新京極商店街振興組合 販売促進広報委員長 / みやげ屋『京のふるさと』店長
1980年 京都市生まれ。
小・中・高を地元で過ごした後、倉敷市の芸術大学に進学しガラス工芸を学ぶ。
中退後、2001年渡仏。
5年間リヨンのエコールドコンデで空間デザインを学び、卒業後帰国。
設計事務所で勤務する傍ら、児童絵画教室を主宰。
退職後、現在に至る。2013年からは、商店街の“まちづくり活動”に参加。
新京極商店街振興組合
日本たばこ産業株式会社 京都支社 支社長
奈良県奈良市出身。
京都大学文学部 卒業後、JTに入社。
たばこ事業部門で営業企画などの職務を担当し、会社歴の約半分は京都での勤務。
2022年4月より現職。
京都の地域に根差した総合的な営業を目指し取り組んでいる。
ひとのときを、想う。JT