2023年11月19日のハイパー縁側@私市は、山本景さんをゲストにお迎えしました!
テーマは 「みんなでつくる みんなの交野」

2022年に交野市長に就任し、現在43才の山本さん。ビール好きだそうですが、健康のため普段は炭水化物を控えている、と言います。本日は無花果と交野産ホップを使ったクラフトビールを口にし、「むちゃくちゃ美味しい!」と感激の声。地域の子どもから、キサチゲートキャップの贈呈もあり、さらに笑顔がはじけます。

山本さんは、生まれも育ちも交野。キサイチゲートを開催している私市駅前も、幼い頃から馴染みがある場所だそう。関西の大学院を卒業後は東京で就職し、全国に約280ある信用金庫の取りまとめをする信金中央金庫で3年半の勤務の後、証券会社に転職。金融商品の開発に携わり、お金を稼ぐ・儲ける事を中心とした業務を行い、東京で約7年間過ごしました。

山本さんが交野を離れ、東京で働いている間も、交野市の財政状況は一向に変わらず、30年ほど前から借金まみれのまま。そこに腹が立ち、「自分が何とかしよう!」と思い立った事が政治の世界に入ったきっかけ、と語ります。民間企業での勤務経験を生かし「財政再建をしたい」と大阪に戻り、選挙に出馬したのがちょうど30才でした。

ただ、選挙のやり方を誰に教えてもらう事もなく、当初は分からない事も多かった、と振り返ります。そこで、山本さんは覚悟を決め、毎朝、駅に立ってビラを配り、地道に1件1件廻り、知名度を上げて市民の要望を集め続けます。政策も、もちろん大切。しかし、政策で選ぶ人は10〜20%。知っているか知らないか、会ったことがあるかないか、という感覚で選ぶ人がはるかに多い、と話します。

今回、キサイチゲートではちょうど選挙フェス実行委員会による『おかず選挙』が開催。誰でも模擬選挙を体験でき、選挙を身近に感じる事ができる取り組みです。山本さんは、選挙についておかずの好き嫌いを選ぶ感覚で、「若いから」「見た目が好きだから」という要素で選ぶ事もあるのでは、入りはそれくらい気軽でもいいのでは、と感じています。

サラリーマン時代とは全く違う、地道な活動を続けている山本さん。議員になっても、市長になっても、市内を廻り、市民の要望を聴くというスタンスは変わりません。政治家を志す為に交野へ戻った瞬間から、山本さんの移動手段は専ら自転車。車だと駐車する場所に困るし、バイクだとヘルメットで顔が見えない。自転車だと、駐車にも困らず、顔も見える。さらに、規定内の高さの「のぼり」を掲げる事もできるので、「やめられません」と笑います。

自転車姿が定着しすぎて、歩いていたら「自転車壊れたん?」と、小学生に声をかけられるのだとか。また、カラー診断で「緑」と診断されたので、山本さんの自転車やポスターなどは緑で統一。「ミドリマン」の愛称も根付いています。

10年以上、自転車で戸別訪問を行い、市民の声を集め続けてきた山本さんは、交野の住宅地図を記憶している、と言います。また、市民の要望についても、知らない要望はほぼないそう。市長と議員の違いとして、15人の議員が細かい意見・要望を吸い上げ、山本さんは市長として全体に関わる事を中心に取り組む、という点をあげます。

“「ひと」と「まち」を熟知すること”

市長であると同時に、自身を政治家と捉える山本さん。従来通り、市民からの意見を集め続ける事を大切にしながら、要請があれば各地区でタウンミーティングを開催。その際も、どの人が来て、どういう要望があるのか、を想像できるそう。人とまちを熟知していないとできない仕事ですが、それが本来の仕事、と言い切ります。

日常的に市民の目を気にしないといけない生活は大変なのかと思いきや、ぜんぜん苦ではない、と話す山本さん。また、休日がない事についても、休む時間はあり、家庭菜園をしたり、ドライブをする事で満足していると言います。

昔の自分なら、休日がない事に耐えられなかったけれど、置かれている環境や捉え方が変われば、価値観も変わる事を実感しているそう。「仕事中毒かもしれませんね」と、笑います。そして何より、市長の仕事は、サラリーマンでは得られなかった“喜び”がある、と語ります。

お客さんが高い手数料に気づかないまま、いかに多く売買をして儲けを出すか、が重要だった証券会社での仕事。本当にお客さんが喜んでくれていたのかと言われたら、そうではない。一方、現在の仕事では、市のお金を運用して稼ぎ、体育館の空調整備・給食無償化の実現など、具体的な施策を行う事で市民の皆さんが喜んでくれる。他にしんどい事があっても気にならないくらい、“喜び”や“嬉しさ”を得られると、笑顔で語ります。

そして、そのような様々な活動は、自分に対する投資だと考えています。市長本人、市会議員本人がお金を儲けるという意味ではなく、市民を儲けさせる、つまり市民にとってプラスになる事をするのが、本来の趣旨。そうすると、まちが元気になる事に繋がっていく、と力強く語ります。

そんな山本市長のスローガンは、“みんなでつくる みんなの交野”。もちろん、「みんな」は「市民」を指していて、市民が考える施策をできるだけ実行し、行政に反映させるという事を推し進めています。
9月からスタートしたキサイチゲートについては、お金があるからと言って出来る事ではない。人がいないと出来ない事、と感じています。

交野市は人口10万人以下の小さな市。市の職員も500人くらいで、お金もない。ただ、意識が高く活動的な市民が多い、と話します。行政の借金が多い事で、市民の活動に頼っていた部分があった事は否定できません。

民間や地域の方々に丸投げしていた歴史を鑑み、地域が主体でありつつ、行政は側面サポートをしっかりとするべき、と考えています。今後、細分化していた組織を一体化して、地域振興課の人数も増やすと約束する山本さん。本来の行政のあるべき姿を目指す、と語ります。

私市エリアは、電車を降りてすぐに山登りが楽しめるような自然豊かなエリア。大阪を見渡しても、そんなエリアはなかなかなく、とても魅力的。さらに、巨大な吊り橋『星のブランコ』という大きな観光資源を大阪府が作ってくれたのもありがたい、と話します。

それらを活かし、東京八王子の高尾山のように、地元にお金がおちる仕組みを作る事が今後の課題だ、と捉えています。1・2・3次産業をできるだけくっつけて6次産業化し、付加価値をどう作っていくのか。枚方や寝屋川と同じようなまちづくりではなく、この地域ならではの強みを生かしたまちづくりを目指していきたい、と語ります。

最後は、キサイチゲートを共に創り上げてきた、京阪HDの酒井部長がご登壇。「この場所を、こういう風に使いたい」という住人の想いがあり、またそれを形にする“地域の力”があると感じています。

京阪としても、地域の一員として持続的に関わっていきたい、と話す酒井部長に対し、行政が持たない発想を持っているみなさんの力を、継続して貸してもらいたいと話す山本さん。“みんながつくる みんなの交野”を連携・協力して進めていきたい、と考えています。

“本来の行政のあるべき姿”と、何度も力強く語っていた山本さん。明確なビジョンも持ち、迷いなく突き進む姿が頼もしく、印象的でした!
時間と労力を惜しまず、人とまちに寄り添い続ける山本市長と、地域が主体となりみんなでつくる交野のまちの未来、楽しみです!

【山本 景(やまもと けい)】
交野市長
▼プロフィール
昭和55年3月12日 生まれ
平成10年3月 私立大阪桐蔭高等学校 卒業
平成14年3月 和歌山大学経済学部 卒業
平成16年3月 大阪大学大学院経済学部 卒業
▼職歴
平成11年11月 AAA!CAFE 取締役副社長 就任
平成14年4月 AAA!CAFE 代表取締役社長 就任
平成16年4月 信金中央金庫 就職
平成19年8月 野村証券株式会社 就職
平成23年4月 大阪府議会議員 就任
平成27年10月 交野市議会議員 就任
令和4年9月 交野市長 就任
交野市