2023年9月27日のハイパー縁側は、原田雅子さんをゲストにお迎えしました!
テーマは「好奇心と行動力と共感力で毎日を楽しむ」

ビール愛好家でありシニア知的財産アナリストである原田さんは、今回東京からお越しになりました。原田さんたちは先月、ここ中津ブルワリーでソルガムを使ったビールを醸造しました。この日はそのお披露目も兼ねたハイパー縁側となりました!

原田さんは小さい頃、親の仕事の関係でブラジルの自然豊かなところに住んでいたそう。日本に帰ってきて大阪に住むことになり、人の温かさに触れてそれが好きになりました。その経験があり、豊かな自然と人の温かさを共存させていきたい!という想いを持っていた。
そういう仕事につきたいなと思い、株式会社スリーダムアライアンスに入社し現在に至ります。地球環境を真に守っていくというビジョンを持って事業を行う会社です。

この会社では元々事業として電気自動車(EV)をつくっているのですが、EVもどうしてもつくるときにCO2を発生させてしまいます。それを植物で吸収させたいと考えたことで、今回のビール醸造でも使用しているソルガムの取組につながります。

子供時代、ブラジル生活をする中で、ブラジルの人たちは自由で陽気な印象をもっていたと話す原田さん。ブラジル人はやはりサッカーが大好きで、代表の試合でブラジルが点を入れると、なぜかトイレットペーパーがそこら中を飛んでいたという面白い思い出もあります。
そういった陽気さとともに、誰にどう思われようと自分がやりたいことをやる、という空気感があったと話します。

それを感じてから8歳で日本に帰ってきて、ギャップも感じたそう。たとえば学校の国語の授業で「自分の感想を述べましょう」という時に自分が本当に思ったことを言うと、先生にそれは筆者の思っていることと違う!と言われたりなど。そういったギャップも感じつつも、住んでいた大阪の人たちがとてもいい人たちで温かかったと話します。

現在原田さんがもつ「シニア知的財産アナリスト」という肩書は、日本では30名ほどしか保持者がいない、とても貴重な資格です。

2016年前後に、知的財産(知財)を経営に活かす動きがブームになった時期がありました。IPランドスケープといって、経営層に知財を活用した経営戦略を立案・提案していく動きが出てきたのです。その走りで原田さんも勉強を始めたと話します。

特許にはものすごい数があります。知的財産アナリストはそれを俯瞰して見える化していくことが仕事です。競合はどんなものをもっているのか、どの分野にあるのかなどを見える化していくことで、企業の経営者にとっての戦略がみえてきます。その役に立つお仕事です。経営層への提案として、求めるものに応えるレベルまでもっていくのが難しいので、資格保持者が少ないのだそうです。

そして、原田さんがビール愛好家として取り組んでいるソルガムのプロジェクトへと話は移ります。

ソルガムはアフリカが原産の植物で、キビの仲間です。今回のビール醸造の際にはそれを麦芽化しました。麦芽化したものは小麦よりも小さい位の大きさになります。成分分析をしてみると、ビールの製造でよく使う大麦と大きく違い、糖分を分解する酵素が全くなかったそう。なのでソルガム100%で醸造すると分解によるアルコールができず、ビールがつくれません。

ソルガムは大きくなると6-7mにもなります。日本では春に植えて秋に収穫することが多いそう。使い方としては、実を粉にして小麦粉のように使ったり、家畜のエサにも使われています。また葉っぱや茎も、バイオマス燃料としての活用が期待されています。

“あの大自然を守りたい”

現在ビール愛好家とシニア知的財産アナリストの2軸で活動している原田さん。
その活動の軸には「地球環境を守りたい」ということがあります。ずっと研究者をしてきたので、科学が環境に悪いことをしてはいけない。なるべく地球環境にとっていいものを選んでいきたいという想いがあります。その原点は、ブラジルで育ったのであの大自然を守りたいという気持ちです。

原田さんがビール愛好家であるということも重なり、今回ソルガムに関わることになりました。ビール好きな原田さん自身が、改めて仕込みをしてソルガムビールをつくってみて、ビール醸造はめちゃくちゃ大変なんだと実感したと話します。

ソルガムに関わるにあたって影響を受けた方が、今回使ったソルガムをつくる信州ソルガム株式会社の鎌倉さん。信州ソルガムは無農薬にこだわってつくられており、一生懸命つくっているという想いが詰まっているなと感じています。味というより、どんな人がつくっているのか?に共感するタイプだと原田さんは話します。

鎌倉さんたちのやり方はベンチャーに近く、しがらみにとらわれずに自分のしたいことをされているところに自身と共通点が多く、魂が似ていると思い一緒に仕事をしたいと感じたそう。なかったら自分がつくる、という考え方が起業家に近いなと感じています。
原田さんご自身のシニア知的財産アナリストとしての見える化も、周りにやる人がいなかったからやる!という動機で始められたそう。

当日来場していた山田さんもコメントしてくださいました。
ソルガムにしてもホップにしても、社会課題の解決をビールを通じてみせるというのは通じるものがあります。ビールをつくることはすごく大変。大事に飲むということを伝えていけたらいいなとお話されました!

ソルガムは根っこを伸ばせる場所があれば、都会でも栽培できるそうです。中津でも学校で畑をつくろうとしているので、食育としてやるのもありですねというお話も出ました!

ソルガムは根がCO2の固定もするので畑にとってもプラスになったり、実をご飯に入れて食べられたりと、可能性は広がっています!食用にも使えて燃料にもなり、ビジネスモデルとしても考えていかないといけないなと話す原田さんから、意気込みを感じました。

食にエネルギーに、様々な社会課題への関わりしろと可能性が広がっているソルガム。これからどのように展開していくか楽しみになるお話でした!

【原田 雅子】
ビール愛好家 / シニア知的財産アナリスト(特許)
幼少期の遠足はリオデジャネイロという広大な海やイグアスの滝という大自然が身近なブラジルで過ごし、帰国後は大阪という街で人の温かさに触れ、人が幸せに暮らせる地球環境に興味をもつ。
大手企業の研究開発、知財解析チームを経て、現在は大学発ベンチャー 株式会社スリーダムアライアンスの執行役員を務める。