2023年9月16日のハイパー縁側@私市は、菊川光徳さんをゲストにお迎えしました!
テーマは 「日常で非日常を愉しめる私市から、里山アウトドアカルチャーを発信」

9月から12月にわたり毎月1〜2日、計7日間、大阪府交野市の京阪交野線 私市駅前で開催される「キサイチゲート」。地域の市民・事業者・団体が鉄道会社とコラボし、都市と郊外の人々の“交わり”を生み出す、駅前広場づくりを目的とした次世代の社会実験です。交野産の食材を使ったフードやドリンク、地元に愛されている雑貨店やワークショップなどが軒を連ね賑わいます。子どもたちもワイワイ集まり、交野産クラフトビールと焚き火を囲んで、ハイパー縁側スタートです!

枚方市ご出身の菊川さん。アウトドア用品販売と外遊びを提案する「Sotoaso(ソトアソ)」を起業して17年。現在は、私市駅前でトレイルランを中心としたアウトドア用品を取り扱っていますが、もともとは鶴見区でマリン用品を販売していました。

菊川さんは、高校1年生の時に元先輩の同級生に、サーフボードを譲ってもらった事がきっかけでサーフィンに熱中し、海に通うようになりました。20才からは、水上バイクやボートなどを販売する仕事に携わります。GWから10月頃までは繁忙期で、休みなく働いていた、と振り返ります。18年間勤務する中で、「自分でアウトドアの仕事をしたい」という思いが強くなり、起業を決意します。

そして、鶴見でマリン用品やジョギング、ランニング用品を販売していましたが、「何か違うな」と、違和感を感じていた、と言います。そんな時、山を走るスポーツであるトレイルランに出会います。やってみると「面白い!」と、今から10年前にトレランの魅力に気づいた菊川さん。

最初は分からない事も多かったのですが、トレランを熟知した仲間と知り合い、知識を広げていきます。ソトアソに出入りするお客さんの中には、海外のレースに出場する選手もいるそう。「何ですかそれ?」「そのギアすごいんですか?」と、積極的に色々と教えてもらっていました。

私市は山へのアクセスが良く、ハイキングやトレランを楽しむ方が多く訪れます。交野市在住の菊川さんは、私市駅前にある東屋でこっそり着替えをするトレイルランナーの姿を何回も見かけていました。需要はあると感じていて、8年前に鶴見から私市へ店舗を移動しました。駅前の建物の1階を借り、更衣室なども備えた私市のソトアソがスタート。

しかし、当初は昼間でも駅改札の「ピーンポーン」の音が店内に響くほど閑散としていました。「木枯らしが吹く切なさを体感しました」と、笑います。

ただ、菊川さんはソトアソを寄り道ポイントではなく、「目的地にしてほしい」と強い想いをもちオープンしました。ニッチマーケティングでしたが、トレランに特化した商品を揃えていました。実際に関東方面など遠方から「何でここにこんな商品が?」と、来店するお客さんもいたのだとか。トレランの認知度は徐々に高まり、ソトアソを拠点にトレランを楽しむ方も増えていきます。

私市の店舗を開いて7年目には、大東市に2店舗目もオープン。最近では、行政から声がかかりアウトドアイベントを企画・運営することも多く、イベント企画会社と思われがちなのだそう。「あくまでも、小売業がメインです」と、話す菊川さん。実際に、商品を使うシーンを見て買ってほしい。

だから、イベントを意欲的に開催しています。通販で「外遊びの専門店」と銘打ち販売している時期に、物の売りっぱなしになっている事に、フラストレーションが溜まっていた、と言います。商品を使うきっかけを提供したり、遊び方を伝える事を大切にしたい。今後もイベントに力を入れたい、と考えています。

本日は、キサイチゲートでのイベントのひとつとして、トレイルラン体験を開催。私市駅を出発し3時間かけて、交野の山の中を走ったり、景色を楽しんだりしながら、自然を満喫します。今回の楽しみは、何と言っても美味しいビールを飲む事、と満面の笑みの菊川さんですが、遊び方は様々と言います。

雨が降ったら、山の中を「ひゃー!」と叫びながら駆け回り、童心に戻れる事も楽しいし、もちろん、速さや距離を競うこともできる。それぞれが、それぞれの達成感を味わえて遊べるのが、トレランの魅力だと言います。

紅葉シーズンは、観光客の方も多く訪れますが、私市駅前は電車の待ち時間を過ごしたり、待ち合わせの場所で人々が長く滞留する事はありませんでした。しかし、今回はトレランを終え、夕方に駅前に戻ってくると人々が賑わい、ゆっくりとした午後の時間を過ごしていた事が嬉しかった、と話します。
集合・解散する場ではなく、キサイチゲートが目的地になってほしい。その為のコンテンツも作っていきたい。「その時に、初めてソトアソは、寄り道になりますね」と、笑います。

また、菊川さんはキサイチゲートが「楽しい事が生まれ、集まる場所にしたい」と考えています。ここで楽しい事が生まれると、よそからも楽しい事が集まってくる。トレランでも同じ事が言えて、楽しみながらしていると「楽しそう」と人が集まってきます。楽しむ事がメインだと捉えていて、「トレラン×〇〇」をする事でさらに楽しみが広がっています。
今回だと、山を走った後のビールを楽しむ「ビアラン」。他にも、「かき氷トレラン」や「ナイトトレラン」なども開催しました。

その際、菊川さんが意識する事は、数字ばかりを追いかけ、内向きにならないようにする事。集客が何人で、売り上げがどれくらいだから、イベントを年に何回して…という考えで動くと面白くない。もちろん、計数管理も大事だけど、それだけでは面白い遊びは生まれない、と言い切ります。

“二番煎じは絶対にやらない!”

菊川さんは、“基本的に思いついた事はできる”と考えています。できるから、思いつく。スタッフにも、“二番煎じになるなら、やらない方がいい”と常々話すそう。思いついたらやらないと、誰かがやってしまう。“二番煎じ”は大嫌いなワードだ、と言います。

菊川さんの「やりたいことリスト」は、優に100を超えています。そのリストを見返すと、今すぐはできなくても、いつか実現することもあるので残しているそう。やりたい事を箇条書きにし、アンテナを張ってるから縁が繋がったり、運を手繰り寄せ、実現できる事もあると話します。

ただ、やり過ぎて大変になってしまう事も。これは問題がある、と感じたスタッフからは「今回は、やめといた方がいいんちゃいますか」と、ストップをかけられる事もあると笑います。

そんなソトアソのスタッフは、ほぼソトアソファンや元お客さん。オープン当初のワンオペ時代には、お客さんがお客さんに商品の説明をしてくれた事もありました。今でも、イベント時にスタッフの手が回らない時は、半スタッフ的に動いてくれるお客さんばかり。

今まで助けてもらってきたお客さんの顔が次々と思い浮かぶ、と振り返る菊川さん。ソトアソは自分1人ではなく、お客さんと一緒に作ってもらってきた、としみじみ語ります。

私市の里山では、染物をしている方や野菜を育てる方など、様々な活動をしている人がいます。菊川さんはアウトドア畑を耕してきましたが、そのようにゲートをくぐって始めるきっかけの場所が、私市駅前であり、何かが生まれ形になる場所になったら面白い。

1年後は、ここが目的地になり、“人生に残る場所” “スタートの場所”になって欲しい。さらに2030年までには、市外から来た人も「ゲートをくぐれば地元の人」という意識で迎えるような、誰もが居心地の良さを感じる事ができる場所を目指したい、と語って下さいました!

“思いついた事はできる” 菊川さんの人間力と行動力に魅了され、楽しさの渦に巻き込まれる人々は、まだまだ増えそうです!アウトドアカルチャーはもちろん、人生の愉しみ方を発信し続ける、菊川さんの爽やかな笑顔が印象的でした!

【菊川 光徳(きくがわ みつのり)】
株式会社ソトアソ 代表取締役 / アウトドアベース・ソトアソ オーナー / 合同会社エーコーン 代表 / きさいちアオソラ酒店 店主
大阪府枚方市出身。
マリン用品販売会社に18年勤務後、海から陸に上がりアウトドアスポーツ全般の用品販売とソトアソビを提案する「Sotoaso(ソトアソ)」を2006年に起業。
大阪と奈良にまたがる生駒山系のトレイルヘッド、大阪府交野市私市(きさいち)の里山で2015年からトレイルランニングを中心とした、アウトドアショップ & アウトドアアクティビティ(トレイルラン・トレッキング・ロゲイニングなど)企画運営する「アウトドアベース・ソトアソきさいち(OBSきさいち)」を経営。
2021年春より、河内飯盛山の麓に新しいベース「アウトドアベース・ソトアソいいもり(OBSいいもり)」もスタート。またビール好きが高じて”美味しいソト呑み”を提案するという人生最大のミッションを果たすべく、一般酒販免許と取得して「アウトドア酒屋 ・きさいちアオゾラ酒店」をオープン。
ソトアソ Sotoaso
アウトドアベース・ソトアソ
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