2022年7月13日のゲストは、「梅田ゆかた祭2022」の幹事法人を務める一般社団法人グランフロント大阪TMO(以下、TMO)の常名さんと、主催者としては初参画となる大阪メトロの佐藤さん・芝勢さんをお迎えしました。
トークテーマは「祭りを通じた“ええあんばい”のつながり」と題し、梅田ゆかた祭の魅力をひと足お先にお伝え頂きました。

「梅田ゆかた祭」は“ゆかたであいたい”をテーマに、梅田エリアで様々なコンテンツが展開されるイベントです。今年は新型コロナの影響を乗り越え、3年ぶりに復活します。新型コロナ流行以前は、目玉の催しとして盆踊りを行っていましたが、やはり例年通りというわけにはいかないご時世。

そんな中、梅田ゆかた祭の新しいコンテンツとして「ハイパー縁側@梅田ゆかた祭」が8月30日~31日の2日間にわたり、開催されます。今回、梅田ゆかた祭に先行して中津のハイパー縁側に登壇した常名さん。直前まで子どもが走り回ったり、地域の顔見知りが手を振りあったり、中津の地域に溶け込むハイパー縁側を実際に体感して、「ハイパー縁側@梅田ゆかた祭」がさらに楽しみになってきたといいます。

TMOはグランフロント大阪を中心にエリアマネジメントを行っている組織です。そのなかで、常名さんは地域のまちづくりを軸に現場をまわっています。
従前は東京で、ディベロッパーとして開発部門の再開発事業を担当していた常名さん。現在の出向先であるTMOでは、様々な方々の協賛を得てその想いを受け取りながら予算の管理・執行を担当しています。そのため、以前よりも地域とのつながりやお金の使い方を、より大切に意識するようになったと言います。

もうお一方、大阪メトロの佐藤さん。現職に就く2年前は、不動産事業のマンション開発を担当していました。現在、エリアマネジメントに従事するようになり、様々なことが劇的に変わったと言います。
大阪メトロが梅田のエリアマネジメントに参画したのは昨年度から。エリアマネジメントでは短期的な収益に傾倒することなく、じんわりと地域の価値を高める、まち全体に有機的に関わっていくような感覚がモチベーションになっていると語ります。

ハイパー縁側は不特定多数よりも、1対1のコミュニケーションをとても大切にしています。場の熱量が一番上がるのは、ゲスト1人・ファシリテーター1人・来場者1人の3人の時で、社会性を追求する対話を目指しています。

日々、経済性を追求する大きな組織の中で動いている常名さんは今回、社会性を追求するチャレンジを梅田で出来る事が、非常に大きな価値だと語ります。逆に、その価値を梅田の方々にどのように受け取って頂けるのかは、今回の楽しみの一つ。

ここで、常名さんから来場者へ「梅田へのアドバイスを頂きたい。」と。

中津に住んで20年、中津の福祉コーディネーターも務める山田さんからは、
「やっぱり、うめきた2期の街が出来る事には期待と不安の両方があります。梅田には梅田の、中津には中津の良さがあって、うめきた2期の方々がよかれと思ってやることも、なんでも歓迎できるわけではないのが現実です。

そういった齟齬を起こさないためには、とにかく対話が必要で、今回のハイパー縁側はそのきっかけの1つになっていくのではないでしょうか。こうした、地域が参画できる場をきっかけに、開発事業者や地域や地元の地権者など、様々な方々が集う場所ができたらいいなと思っています。」

常名さん
「まちや人や土地についての想いが、音として言語として地域に開かれている、それがハイパー縁側の最大の魅力ではないでしょうか。土地と人が全て繋がっている状態をつくっているところは、本当に限られていると思います。地主の方の想いを受け取って、働かれている方や地域の未来を考えている方々が、ひとりひとりの街で歩いている方々にまで、“声”として繋がるよう、届くような状態は素晴らしいと思います。

これって、普通は出来ないし、難しいし、無理に近い。TMOとしては、なんとかそこを頑張りたい、と日々意識しています。ただ、言葉や音にする事で、逆に様々な弊害を生むこともあります。それをどうやって一緒の街にいる人と共感できるか、を日々悩んでいるのが仕事です。」

常名さん
「ここ数年、エリアマネジメントは新型コロナをきっかけに“問い”をつきつけられてきました。これまでは、今まで通りのことをやっていれば一定評価されました。
しかし、コロナ下で恵まれない子供たちの現実や地域からの厳しい声を突きつけられ、エリアマネジメントの使命を改めて考えさせられました。こんな状況で、皆様から協賛頂いたお金を使って、エリアイベントをやっていいのか…。

しかし、地域と向き合い、メンバー同士で話し合いを重ねるうちに答えが見えてきました。エリアイベントの価値、それは『重苦しい時こそ、経済価値に縛られないエリアイベントをやる事なのではないか。』『やりたいこと楽しみなことを自分たちの手で実現できる、そうした素敵な体験を地域で共有することで地域の子供たちの未来を育むことができるのではないか。』そう考えました。」

“Active & Inclusive”

「そして、我々の姿勢として“アクティブ&インクルーシブ”という言葉にしました。意味とか、全部理論立てて言えないけど、やれるような環境やコトに向かっていく、という姿勢が大事なのではないか。」

山田さん
「今日、福祉の研修で学んだことですが、やっぱり楽しいことをして、その子たちが主体的に関わる場を設けることはとても大事なことですね。こんな暗い時こそ、明るい事をして下さる方が必要ですし、苦労してでもやる価値があることだと思います。」

 常名さん
「今年の梅田ゆかた祭は参加者と主催者が一体になることがテーマです。でも、そんなことはいくらでも言えます。それを実際にどのように実現するのか。そこが本当に難しくもあり、地域の方々と作り上げていく部分だと思っています。」

白熱した対話を受けて、会場からは様々な意見も飛び交います。

・北区の皆さんは盆踊りが大好きなので、梅田ならではの音頭をつくってみては?
・みんなで吞みながら盆踊りしたらええんちゃう?
・梅田に期待することは、“お金”ですね。
・実は変わったことをやる人がいっぱいいるよね。
・アメーバのような、様々な人の集まりが代わる代わる登場する場が出来たら?
・大阪ならではのごちゃごちゃ感が文化になるんじゃない?
・大阪には地域の力、色がまだまだ残っている。

中津には中津の色があります。中津の色は「やってみなはれ」の精神。新しく来た人の挑戦も、皆さんで応援して下さるような風土があります。もちろん、梅田にも梅田の濃い色があって、いろいろな課題もあります。できないこともたくさんありますが、それでも、様々な方が参加頂けるよう、子供達や家族連れで楽しめるような企画も実施されます。

その一つが「ぺたぺたゆかたきぶん」。手ぬぐいを通じて、浴衣のルーツでもある染め物の文化をみんなで体験しながら発信していくきっかけを作ります。「ぺたぺたゆかたきぶん」では、中津相愛幼稚園の子供たちがデザインしてつくられたスタンプを手ぬぐいにぺたぺた押して、自分だけのゆかた柄手ぬぐいを作ります。

今年の梅田ゆかた祭でも複数の会場があり、会場によってまったく色が異なります。本日のゲストは「うめきた広場」を担当する常名さんでしたが、次週以降のハイパー縁側では、「阪急電鉄本社前」を担当する皆川さん、「時空(とき)の広場」を担当する角谷さんに、各会場の魅力やまちづくりへの想いをうかがいます。

最後に、大阪メトロの芝勢さんからは「今年からの新要素、地下会場が登場!暑くない、雨が降っても大丈夫の大阪メトロ会場にもご期待ください!」との熱いメッセージが。

各会場の情報は「梅田コネクト」「梅田ゆかた祭」で検索して頂いて、各サイトの情報を元にぜひ足をお運びください。
地域に燃える熱いメンバーが梅田でどんな化学反応を起こすのか、乞うご期待!

【常名 慶一郎(Jona Keiichiro)】
一般社団法人グランフロント大阪TMO
35歳 / 千葉県出身 / 早稲田大学大学院建築学科卒
2011年、中央日本土地建物㈱入社後、東京にて都市開発、アセットマネジメントを担当。
2018年、グランフロント大阪TMOに出向のため、大阪へ転勤となる。
TMOでは、梅田地区エリアマネジメント実践連絡会の業務を担当。
2018年~現在まで、「梅田ゆかた祭」の幹事担当を務める。
エリアイベントを通じて、市民参加型のまちづくりの実践に取組む。
“えぇあんばい”の未来志向のイベントづくりを目指す。
一般社団法人グランフロント大阪TMO
中央日本土地建物グループ
梅田地区エリアマネジメント実践連絡会
梅田ゆかた祭2022
【佐藤 涼】
梅田エリアマネジメント実践連絡会
大学卒業後、不動産デベロッパーに就職し、マンション事業を中心に携わる。
地元大阪に戻り、2020年より大阪市高速電気軌道株式会社勤務。
社内では都市開発事業本部に所属し、不動産関連業務に従事。
社としても沿線の活性化を目指し、各エリアマネジメントに参画するなか、担当者としてまちづくり活動に取組む。
Osaka Metro
【芝勢 広大】
梅田エリアマネジメント実践連絡会
大学卒業後、アパレル会社入社。
Webマーケティング会社、独立支援組織、広告メディア会社勤務を経て、大阪市高速電気軌道株式会社入社。
新規営業組織のマネジメントを中心に行い、営業部営業企画課に異動。現在に至る。
現職では大阪の街と駅周辺エリアの魅力発掘、磨きこみ、創出するプロジェクトを中心に活動している。
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