2022年7月6日のハイパー縁側は、画家の植村友哉さんをゲストにお迎えし、トークセッションを行いました!
テーマは「画家 植村友哉の生き方~美術を通じた国際文化交流~」。

小・中学校では柔道、高校大学ではレスリングに没頭する傍ら、小学校低学年から自由帳に模写を始め、独学で絵を描くようになった植村さん。
勝った時の監督の喜ぶ顔を見るのが嬉しくて打ち込んでいたレスリングですが、練習した技を試合で発揮した時と、制作したアート作品を発表して認めてもらえた時の喜びは似ていると語ります。

そんな植村さんですが、大学卒業後は食品メーカーに就職し、営業をしていました。人と話すことは得意でその仕事を楽しんではいたものの、2016年に縁あって訪れたパラオの地で、日本では見られないような透き通った空やキラキラと輝く海、山や滝などの原始的かつ綺麗な景色と出会います。

そしてその瞬間、自分もこのパラオの景色のように自分らしくいられたら楽しいだろうなと思い、画家を志す決意をしました。この時に現地でスケッチし、日本に持ち帰って油絵に直した作品は、自身初の受賞作となりました。

パラオはかつて日本の委任統治領であり、日本兵がパラオ民を守ったという言い伝えもある親日の国であり、ご高齢の方には日本語を話される方もいるそうです。植村さんは現在、そんなパラオの景色や植物、生き物を主な題材に作品制作をしています。
植村さんはこれまでパラオの地で二度の個展を開催したり、現地の子供たちに水彩色鉛筆を使ったぬり絵教室を行うなど、画家としての人生を歩むきっかけをくれたパラオに、芸術を通じた恩返しをしています。

“WESON MUSEUM”

また、現在はVR技術者の方とタッグを組み、VR美術館「WESON MUSEUM」の運営もしています。専用ゴーグルとコントローラーで自分のアバターを制御し、バーチャル空間につくられた美術館で植村さんの作品を鑑賞することができます。

4つあるワールドはそれぞれ違ったテーマで構成されてあり、空に浮いた美術館に入り芸術体験ができる「天空美術館」や森林にいそうな鳥などを題材にした「森林美術館」、南国の植物などを題材に大きな植物の葉っぱをのぼりながら鑑賞し、落ちると最初からというゲーム性も取り入れた「雨降る美術館」が体験できます。

ちなみに、頂上に展示された絵は植村さんもまだ見られていないそうです。そして、4つ目のワールドは、パラオの美しい景色の中に美術館をつくった「パラオ美術館」。

VRは賛否両論ありますが使いようによっては良いツール、と植村さん。実物より拡大された作品も展示されているため、実際は両拳ほどのサイズの作品がアバターより大きくなっている事も。やはり、実物のごつごつとした質感はリアルならではのものでもあり、実際の色彩や作品のサイズ感などの課題の観点から、現在はVR上での絵画の販売は行っていません。

主に展示会の案内や、個展には出さないスケッチや下書きを展示するなど、SNSのような感覚で実体験を導くコンテンツとして利用しています。中にはVR美術館への来館をきっかけに、実際にパラオに観光に行った方もいるのだとか!

VRの最大の利点は時間や場所の制限なく、気軽に芸術体験をできることです。パラオで個展を開催した際には、作品の輸出入にかかる費用や輸送で苦労しました。
その他の利点として、VR美術館には国外のアメリカからの来館者がいたり、現在パラオにある作品も鑑賞できたり、自宅から作家と会話する事もできます。人が移動せず国際交流できることもVRならではのメリットだと植村さんは語ります。

現地でのハイパー縁側には、アトリエのオーナーやVR制作に協力して頂いている技術者の方、ファンの方々も駆けつけて下さいました。画家に転身するきっかけなどのお話をお聞きしながら、持ち前の明るく優しい性格で築き上げた人脈が今の植村さんの画家としての人生を支える大事なピースのように見えました。

現在は新しい企画も準備中との事で、最新技術とパラオの壮大なパワーを駆使して、また面白いプロジェクトが始まる事を楽しみにしております。
植村さんのアトリエは御堂筋線中津駅から徒歩5分の位置にあります。皆さんも一度、足を運んでみてはいかがでしょうか。

【植村 友哉】
美術作家
1990年香川県生まれ。
小学 6 年間は柔道、中学から大学卒業まで10年間レスリングに打ち込んだ体育会系。
一方で小学生の頃から毎日絵を描き続け、独学で美術を学ぶ。
大学卒業後に某民間企業に就職するが、美術に対する思いが高まり画家を志す。
経済的な不安を抱えながらも、2016年に学生時代に知り合ったパラオ共和国の友人を訪ね、そこで輝く海や空を目の当たりにしたことを機に、パラオの大自然のように自分らしく輝ける人生を夢見て画家の道に進むことを強く決意。
2018年と2019年、パラオ共和国で個展を開催し現地高校生との合同展などを通じて国際文化交流にも興味を抱く。
現在は、一般社団法人春陽会で作品発表を続けながら、2020年11月に大阪市北区にオープンしたアトリエ兼ギャラリー「UEMURA GALLERY」で日々制作に励んでいる。
また、2021年にVR「WESON MUSEUM」を開館して美術を通じた国際文化交流に取り組んでいる。
UEMURA GALLERY
WESON MUSEUM
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