5月21日のハイパー縁側@天満橋は、宮嶌智子さんをゲストにお迎えしました!
テーマは、「天満橋エリアに“泊まる”を創造する」
ハイパー縁側が行われている、京阪シティモールの屋上に来たのは初めてという宮嶌さん。この場所から、2018年に大川沿いに開業された『Hotel Noum OSAKA』を見渡すことができます。

宮嶌さんは、山形県ご出身。福島の大学を卒業した後、就職しましたがすぐに大学時代の仲間から、「一緒に起業しないか?」とお誘いを受けます。
「好きなやつと、好きなことをしたい」という仲間の声かけで4人のメンバーが集まります。集まってから「何をしていこうか?」「どんな会社を作っていこうか?」と1年間、一緒に住みながらミーティングを重ねたと言います。

“やりたいこと探し”から始まりましたが、何をするにも資金が必要になってきます。そこで、共同生活の1年間は、知人の紹介でたい焼きを売って稼いでいたそう。最終的に、1人1店舗を経営するまでに。忙しい時は1日に3千匹も焼くこともあり、「一生分のたい焼きを焼きました」と笑います。

いきなり大きな事業を起こすのではなく、起業をする前に自分たちのサイズ感で商売を経験できたのはよかったと振り返ります。そんな中、起業をもちかけた友人がオーストラリアでのワーキングホリデーの際、ゲストハウスに泊まった時に見た景色を日本でも作りたいと考え、宿業をすることが決まります。そして、ホステルとラウンジを運営する『Backpackers’ Japan』の立ち上げにつながっていきます。

『Backpackers’ Japan』を開業する前には、メンバーの4人が2人ずつ、日本一周チームと世界一周チームに分かれて旅をしたそう。宮嶌さんは3ヶ月間、世界一周へ旅立ち、初めてゲストハウスに泊まる体験をしました。実際にゲストとしてホステルに泊まり、「何が心地よいのか?」「スタッフのどのような声かけに、ゲストは安心するのか?」などを経験・分析して、宮嶌さんの中で宿業をするにあたり何が大事なのかを会得して帰国しました。

その後、東京の入谷でゲストハウスを開くために築100年の古民家をリノベーションします。宮嶌さんたちも、大工さんと共に壁をぬったり、障子を貼ったりして、1号店となる『toco.』を開業。そこから、東京に2店舗、京都に1店舗を展開していきます。宮嶌さんはCOOとして、オペレーションの構築や工事管理など、現場に関わる全てを担っていました。

2010年の『Backpackers’ Japan』開業から8年、宮嶌さんは、子会社として『Hotel Noum OSAKA』を立ち上げます。その際は、店舗の基本となるデザインや内装を宮嶌さんが行い、大工さんと共に作っていきました。学生時代、建築やデザインの勉強をされていたのかと思いきや、「私、経済学部なんです」と宮嶌さん。勉強をしたというよりは、色々な場所に行き、吸収するようにしていたと話します。

例えば、オーストラリアのメルボルンに2週間ほど滞在した時は、自分が心地よいと感じたカフェやホテルのレイアウトをひたすら描いていたそう。何がいいと思ったのかを言語化し、空間を因数分解をした状態で理解していたいと言います。“自分らしい空間を作るのは、日々の積み重ね”だと語ります。
また、大事にしたいのは、オペレーションを知っている人が設計やデザインに関わるべきだということ。運営するときのことを見据えて、コメントを入れる視点が必要だと考えます。

開業場所の候補は、全国の都市部でした。そして、偶然にも出会えたのが、現在の大川沿いの物件。50室ほどの中規模のホテルを作りたかった宮嶌さんは、ぴったりだと感じます。また、川沿いなので絶対的な景色が変わらないこと、風通しがよく、自然光が入ること、スタッフが出勤するのに悪くない場所など、魅力的なポイントがたくさんありました。

“都市に野を生む”

ホテルを運営するのであれば、まちに開けた空間にしたいと考え、1階にカフェバーを開設。目の前の大川沿いの公園と、『Noum』の空間が地続きになるように、植栽や壁の色を工夫し、外との繋がりを意識したと話します。

元々、インバウンドに向けて展開しようと思っていたので、最低限のアクセスは大事と話します。しかし、『Hotel Noum OSAKA』は、新大阪や空港からすぐの場所ではないし、駅から来るにも、橋を渡らないといけないので駅近とは言えない立地です。

ただ、人によるけれど、“心地よい場所かどうか”ということが優先で、多少の移動は厭わないのではないかと宮嶌さんは考えます。そして、トータル的に見てこの場所をとても気に入っていると語ります。

開業当時、7割が外国人の方でしたが、コロナ禍になり、外国人のお客様は0に。現在は、大阪にお住まいの地元の方が多く泊まりに来られるそうです。

お祝いでの宿泊だったり、子どもをお父さんに預けて、お母さんが1人で泊まりに来てリフレッシュの時間にあてる方も。いつもと違うところに泊まることで気分転換をしたり、自分を見つめる時間を過ごすことができます。

『Hotel Noum OSAKA』では、テレビや冷蔵庫はありません。なるべく電化製品を排除し、電子音を無くしたいと考えました。その分、窓を広くしたり、アートを飾ったり、心地よい空間作りに費やしました。「とりあえず、テレビ」ではなく、「ただ景色を眺める」「ゆっくり本を読む」など、時間に余白を作りたかったと宮嶌さんは語ります。

“いらないと思ったものはいれてない”と言い切る宮嶌さん。同じことをしても面白くないし、自分がする意味を追い求めたいので、自分の価値観や感性を大事にした結果、『Noum』に行き着いたと話します。

「ホテルとはこういうもの」という概念に囚われず多様性を見出し、自分を表現している宮嶌さん。だからこそ、『Noum』に対するネガティブな言葉は、ダイレクトに自分だと感じています。プレッシャーや責任は常にあるという一面も話して下さいました。

最後に、『Hotel Noum OSAKA』の名前の由来を教えて頂きました。都市の中でホッと一息できる“都市に野を生む”という想いがこもっているそう。都市に居ながらも抜け感のある場所を作り、ホッとできる時間や空間を提供していきたいと話します。

「我ながら、いい名前なんですよー」と笑顔の宮嶌さん。今後は、西日本の都市部にも展開していき、『Noum』をホッピングしながら、全国を巡れるようにしたい!と野望も語って下さいました!

テレビや携帯から離れて、窓からの川の流れや鳥が飛ぶ様子、船が浮かぶ景色など“動”を眺めることができるゆったりとした時間。それを、都市部に泊まりながら味わえる“Noum的時間”をぜひ体験したいですね!

【宮嶌 智子(みやじま ともこ)】
株式会社Noum 代表取締役
東京・京都でホステルを手掛けるBackpackers’Japanの創業メンバーとして採用からオペレーション・新規店舗立上げを行った後、2018年に子会社として株式会社Noumを設立。
2019年7月に大阪天満橋に1号店となる『Hotel Noum OSAKA』を開業。
Hotel Noum OSAKA
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