2022年4月20日のゲストは、Rocketstoverの星野さんです。
テーマは「焔のある暮らし」。

ロケットストーブと出会い、その魅力を伝える独自の活動を展開されている星野さん。ロケットストーブの魅力と併せて、薪や炭などの木質系燃料を日々の暮らしに手作りで取り入れようとしています。そんな星野さんのお話を皆さんでお聞きしました。

京都府南丹市の美山町にお住まいの星野さん。当日は、星野さんにご自身のロケットストーブで焼いたパンを持ってきていただきました。普通のパンは、品質がばらつかないように同じ焼き方で作られますが、ロケットストーブで作るパンは風や気候の影響受けて毎回違う出来上がりになり、作っていて飽きることがないそうです。

現在は少し休業しているものの、南丹市では農業にも取り組んでいる星野さん。生物の目線で、作物にとって心地の良い環境はどのような環境だろうか、そう考えながら作物がすくすく育つように様々な試行錯誤を繰り返しています。

農業をはじめた頃、実用書を参考にしてトマトの畑にビニールハウスを作りましたが、実際に作ったハウスの中で作業をすると、暑すぎて続けることができませんでした。これはトマトにとっても決して好ましい環境ではないはず。そうした経験から既存の農業のセオリーに疑問を抱き、生物と調和した農業の形を模索するようになったと言います。

そうした思いから、星野さんは生き物目線での農業活動をブログで発信するようになりました。しばらくすると年に数回、コメントをしながら助言を下さる方が現れたそうです。

その後、その方と交流する中で知った活動がロケットストーブの製作だったそうです。
その方から、「あなたがロケットストーブをどう生活のなかで活用するのか、見てみたい」と、ペール缶で作られたロケットストーブをいきなり家に送り付けられたのだと笑う星野さん。その想いを受けて、2013年から星野さんのRocketstoverの道が始まりました。

“焔のある暮らし”

星野さんはすぐに、送られたロケットストーブを試行錯誤しながら活用し始めました。自然や手の届く技術を活用して工夫しながら生活する姿を見た送り主は大変喜び、星野さん自身も固定概念を打ち破ること、自分なりの方法を確立していくことが楽しくなっていったといいます。

ここで改めて星野さんのロケットストーブを見てみると、一般的な構造とは異なっていることがわかります。構造としては下に燃焼室があり、そこから上にダクトが伸びています。なかで木が燃えると熱された空気がダクトを通じて上昇し、それに吸い上げられるように外気が流入してきます。
その結果、ストーブのなかには常に新鮮な空気が供給され、うまく燃やせば煙が出ないように燃焼させることも可能だと言います。

また、細かい形状や独自のパーツなど、実際に生活のなかで使うための工夫が凝らされており、オリジナルのロケットストーブになっています。今後は、ロケットストーブを自分たちで作れるようにレクチャーをすることで焔のある暮らしを広げてきたいのだといいます。

星野さんは一度、自然のなかで暮らすというコンセプトのために、化石燃料を使わずに冬を過ごそうとしたそうです。しかし結局、生活に支障をきたし、次の年からは、まったく化石燃料を使わないというのはやめました。そこからは、バランスの中でできるだけ自然の資源を使う生活を目指すようになったといいます。

手間がかかる分、文明のありがたさがわかったという星野さん。生活のなかで自然を感じながら、自分の手で生活を作っていくことの重要さを説きます。手作りロケットストーブを販売するのではなく、作り方自体を伝授することで、地方の暮らしや自然のことを知ったり考えたりするきっかけになったらいいと語ります。

便利であることを意識し感謝しながら、自分で考えて工夫して暮らす。手作りロケットストーブを通じて、星野さんは焔のある豊かな暮らしを広めていきます。

【星野 隆護(Hoshino Ryugo)】
ロケストパン職人・Rocketstover / 農家
1969年生まれ。甲南大学理学部生物学科卒業。
薬品会社に勤務し、研究所、製造部、マーケティング部に所属。
40歳から南丹市(京都府)で農業を始める。生物学をベースに「植物が最も喜ぶ環境とは?」と自問して生育を管理するのではなく、高い生命力が美味しく豊富な実りをもたらすと気付き、農薬や市販肥料を使わず落ち葉や米ぬかなどでトマトを栽培(農業は現在、休業中)。
2013年1月にロケットストーブに出会い、天然酵母パンを焼く暮らしを手探りで始める。
その美味しさ、手作りの楽しさや大切さを伝えることを目標に、溶接など高度な技術を要せず誰でも作れる独自のロケットストーブを広める活動を行っている。
日々の暮らしで天然酵母パンを気軽に焼けるよう、洗い物を少なく、生地をこねないなど手間をかけないことを心がけている。
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