3月3日のハイパー縁側@中津は、横山明紀生さんをゲストにお迎えしました!
テーマは「大阪中津のハイパー縁側におけるコミュニティ・アーカイブ的側面と地域への影響に関する評価」

本日のハイパー縁側では、この春に立命館大学を卒業された横山さんによる、卒業論文の公開プレゼンテーションが行われました!横山さんが所属していた理工学部環境都市工学科では、インフラに携わることを様々な方面から学べる研究室があるそうです。

3回生の研究室を決める時期に、金先生の講義でハイパー縁側を知り、研究対象として「おもしろそう!」と感じた横山さん。金先生の都市地域デザイン研究室を選択し、中津を対象としたまちづくりについての卒業論文を書き始めます。

卒論では、ソフト面からまちづくりを研究してきた横山さん。2022年4月からは建設業関連の仕事に就き、ハード面でまちづくりに関わっていく予定です。中津の地域のみなさんへのヒアリングをベースに分析。今回、金先生やヒアリングした方々にも見守られながらの発表となりました。

まず、コミュニティ・アーカイブについて。コミュニティ・アーカイブとは、まちづくりのプロではなく、市民や地域の皆様で起こした出来事を、インターネットを介して自らが記事や動画で記録していくこと、と横山さんは説明します。

収集される記事や録画のテーマが人々のコミュニティそのものであること。地域コミュニティが巻き込まれていること。この2点がコミュニティ・アーカイブの定義となります。横山さんの論文では、ハイパー縁側の実態を調査し、コミュニティ・アーカイブ的側面の評価から分類して分析。
さらに、地域に与えた影響を把握し、課題を提案することを目的としています。

ハイパー縁側は、市民の活動をオフィシャルサイトに動画と記事をアーカイブとして保存していることから「記録作成型」であり、登壇者を限定せず数珠つなぎ式につながっていくことから「動態的アーカイブ」に分類。また、市民は制作に関わらず、閲覧するのみなので「利活用型」と分析します。

歴史資料などのような基本的には「利活用」のみの典型的なアーカイブとは異なり、ハイパー縁側は新しい分類のアーカイブであることが判明したと話します。典型的な記録保管型・静態的アーカイブに対し、記録作成型・動態的アーカイブであるハイパー縁側は、流動的で自由度は高いが、市民が利活用のみしか行えない点を横山さんは指摘します。

“参加型アーカイブへの形態変化”

ハイパー縁側の目的である社会的価値の向上に向けて、利活用型から参加型アーカイブに形態変化することが必要と横山さん。つまり、アーカイブ作成に市民が携わることを力強く提案します。

次に、地域に与えた影響や課題について、ハイパー縁側に登壇経験のある5名にヒアリング調査を実施。ハイパー縁側がもたらす影響や良い点・改善点などを質問しました。そこで、ハイパー縁側の実施場所がオープンスペースであることから、目につきやすく中津のことを知ってもらうきっかけになっていることや、地域交流が盛んになり、コミュニティの向上につながっているという意見を聞くことが出来ました。
まちのシンボルにもなっていると話す方もいました。

また、ゲストが登壇する際に自分の考えをまとめる中で、自分や地域の課題を発見できたり、アーカイブ化することによりインターネット上に記録が残り、ご自身や会社の宣伝・自己紹介として活用できるといった良い点もあげられました。さらに、地域を見守る福祉的な役割を担うことが出来た、などの意見も。

一方で、身内で行なっている雰囲気もあり新しい人が入りにくくコミュニティの固執化の危険性がある事や、収益が少ないこと、他の地域での認知度がまだまだ低い事、などの指摘がありました。

中津地区は周囲に比べ建物が低く、下町感がある地域。この立地や雰囲気を活かしながらオープンスペースで行われるハイパー縁側は、登壇制限がなく市民が数珠つなぎ方式で自主的に継続していく運営システム。また、アーカイブ化することで、利用価値が広がっていることなどを総合的に評価し、社会的価値の高い取り組みだ、と横山さんは考えます。

しかし、コミュニティ・アーカイブ的側面からみて、アーカイブ作成の市民参加度が低いことがあげられ、また、地域に与えた影響を考察した結果、地域住民のハイパー縁側への関わり方が主な課題だと話します。

まとめとして、利活用型から参加型への形態変化が重要であると横山さん。その為に、次世代ファシリテーターの必要性や、地域住民がアーカイブ作成を行うなど、地域全体で運営していく事で社会的価値の向上につながると考えます。

最後に、来場された皆様からの感想も聞かせて頂きました。
すぐに市民参加は難しいので、聞き手や話し手ではなく、ダラダラ喋る「ハイパー居酒屋」のようなものから始めてはどうか?という意見や、建設業で働く先輩からは、横山さんにエールも。

金先生からは労いの言葉と共に、方向性は示せたが提案の部分に課題が残るので、研究室としてしても街の魅力向上に寄与するような研究を続けたい、とお話がありました。

客観的にハイパー縁側を分析しながらも、自らアーカイブ作成を経験したり、登壇者にじっくりとヒアリングを行なった横山さん。横山さんからの課題や改善点の指摘を受け、ハイパー縁側が、地域のみなさんをもっと巻き込みながら進化していくことに期待が高まります!
また、この研究経験を生かし、違う環境でまちづくりに関わっていく横山さんを応援したいです!

【横山 明紀生】
立命館大学 理工学部 環境都市工学科 都市地域デザイン研究室
1998年生まれ。
小学校3年生のころから現在まで14年間バスケットボールをしている。
よく病気をする体質で、幼少期には心室中核欠損症、高校時代では再生不良性貧血を患った。
高校では建築系の学科を志望し、現在の立命館大学 理工学部 環境都市工学科に入学。
社会基盤について構造設計といったハード面と、まちづくりといったソフト面、両方の視点で学ぶうちにまちづくりに興味をもち、都市地域デザイン研究室を選択。
2022年3月卒業予定。同年4月総合建設業へ就職予定。
立命館大学 理工学部 環境都市工学科
立命館大学 都市地域デザイン研究室