2021年12月13日のハイパー縁側@塩屋は、チャリティショップ「シオヤコレクション」代表の澤井まりさんをゲストにお招きしました。
テーマは「ローカルで回す!塩屋のチャリティ古着ショップ」。

今回の会場はチャリティショップ「シオヤコレクション」の店内。たくさんのお洋服に囲まれてハイパー縁側がスタートしました。

まずは塩屋にお住まいになった経緯について。それまで京都市内にお住まいだった澤井さん。2013年の引っ越しまでは、ご自身も所属するバンド(三田村菅打団?)の活動拠点である旧グッゲンハイム邸に何度か訪れたことがあったそうです。その時の街の印象は「海があるきれいな街」くらいの印象。

その後、京都のご自宅を退去しなくてはならなくなりました。
予算内で購入できる物件が京都では郊外に行かなければないことがわかってきた中で、旧グッゲンハイムのオーナー森本アリさんに、予算内の物件が塩屋にあるよ!と紹介されました。

六甲山系の西の端、旗振山の登山道入り口近くの自然に囲まれた立地で、自分たちの好みにリノベーションが可能で、菜園生活もできるという、理想のライフスタイルが実現できる物件だったそうです。唯一の難点の坂道が多いということもすぐに慣れることができました。

塩屋に引っ越した当初から、近所の方からごはんのおすそ分けをいただいたりと、徒歩圏内で、ものすごいスピードで知り合いが増えていきました。生まれ育った京都より人との距離が近いことに戸惑ったそうですが、自分にもこの距離感が心地よいことに気づいたと澤井さんはおっしゃいます。
澤井さんは、塩屋の街は「島的な要素がある」と表現します。買い物に不自由はしないし、文化的な面にも触れることができ、さらに年中のんびりした雰囲気があるところが、「島的」だそうです。

澤井さんは塩屋に移住した当初、チャリティショップの運営は全く考えていませんでした。ある時、自分も仕事をしようと考えた際、地域のお困りごとの解決に貢献できるチャリティショップの取組みを自分の仕事にしたい、と決断をされます。
チャリティショップは日本ではまだ知られていない存在ですが、ヨーロッパでは人口5,000人規模に1軒はあると言われているほど市民の生活に溶け混んでいて、同じ割合を人口18,000人の塩屋に当てはめると、3~4軒はあってもいいと澤井さんは言います。

古着屋さんとの決定的な違いは、洋服の買い付け(仕入れ)をしない点で、販売するお洋服は寄付で賄われていて、原価0円のお洋服に価格をつけて販売し、売上の一部を施設や団体に寄付する仕組みです。

チャリティショップを運営する際、はじめに支援する団体や活動を決定します。支援する団体は物理的距離が近い方が良いそうで、支援先の活動が確認できたり、お互いに信頼関係が築きやすいためです。
また同時にお洋服を寄付される方や、お買物をされた方にとっても、支援を実感しやすい点も身近であることが大切な要素となります。

シオヤコレクションは里親支援の「Giving Tree」さんと知的障がい者と音楽家、音楽療法家等の音楽プロジェクト「音遊びの会」さんの2団体に支援されています。2団体とも塩屋にゆかりのある団体です。

お洋服を寄付される方のほとんどは塩屋の方で、購入される方も平日は塩屋の方、とのこと。
澤井さんはお洋服にまつわる思い出も一緒にお預かりして、購入される方にもそのストーリーをお伝えしています。時には、シオヤコレクションで購入されたお洋服を着たお客様と、そのお洋服を寄付された方とが店内で鉢合わせすることもあるそうです。

澤井さんは毎月の売上・家賃や経費・寄付の金額をSNSで公開をしています。お友達にはそこまで公開しなくても良いのでは?と言われるそうです。しかし、シオヤコレクションはクラウドファウンディングで開店資金を得て、内装工事もたくさんの方々とDIYで仕上げて開店することができました。多くの支援や街の人たちの応援を受けて生まれたお店だからこそ、その後の活動報告は必要だと考えています。

“10坪店舗で地域貢献”

シオヤコレクションでは10坪の店内で寄付されたお洋服の販売をしながら、コーヒー・お弁当・立ち飲み・野菜販売・刺繍とお直しなどのポップアップストアも展開されています。こちらも塩屋の方々の出店で、2021年7月頃から始まりました。澤井さんもシオヤコレクションの建物オーナーも、この場所を地域の方たちで活用するスペースにしたいという想いがあり、10坪と狭いながらも出来る事から始めてみようという結論から、現在の運営に辿り着きました。

シオヤコレクションで出店したコーヒー屋さんは、今では他の場所で出店要請が来るほどの評判になっていて、チャリティショップとは違った形で街に貢献できていることを実感できる、と澤井さんは言います。

途中、シオヤコレクションのお向かいにお住まいで、塩屋在住65年の田中さんがお散歩帰りに会場へ飛び入り参加されました。田中さんは洋裁や針仕事に心得があります。ある時、澤井さんから刺繍と洋服のお直しを予定されていた方が多忙な状況であると相談を受けると、ご自身がお店に立つことを快諾されたそうです。こんなやり取りも塩屋らしいエピソードの1つ。

澤井さんに将来の目標をお聞きしました。シオヤコレクションを運営するきっかけにもなった新長田のチャリティショップは、その活動を通じて年間200~300万円の支援をしています。シオヤコレクションでも同程度の支援ができるようになるのが目標です。
そうすれば、もっと塩屋の街への支援が可能になると考えています。ただしそれには順序があって、チャリティショップの活動をもっと周囲に認知してもらい、支援の範囲を施設や団体から塩屋の街へと広げたい、と澤井さん考えています。

また、このお店でワクワクする事をやりたいという構想を持っています。ワクワクのアイデアは自分以外の方でもよく、シオヤコレクションでこんな面白いことをやりたい!を地域の方が持ち込んで頂けるのを待っている、と言います。良い意味で、他力本願。

ここで、来場者から澤井さんがかつてはチンドン屋集団に所属し、生計を立てていた過去が明かされてしまいます。チンドン屋さんは大道芸人と混同される場合が多いのですが、似て非なるものです。クライアントからの要請を請けてから初めて、そのオファーを最大限に達成するためのパフォーマンスを展開するのがチンドン屋さんだと澤井さんは言います。

寄付されたお洋服の売上げから地域の団体や活動を支援し、地域の方のチャレンジしたいことを10坪店舗内で叶える。
澤井まりさんは塩屋の地域と人をクライアントに、街のお困りごとを解決し夢の実現を応援してくれる、まさにチンドン屋さんのような存在に見えてくるのでした。

【澤井 まり】
シオヤコレクション 代表
2013年に京都から塩屋に移住。
自宅を夫婦でDIY改築したり畑をしながら暮らす。
2019年より塩屋まちづくり推進会にて塩屋9丁目の市営住宅跡地の利活用プロジェクトをコアメンバーとして進めている。
2021年5月に塩屋駅前にオープンしたチャリティー古着ショップ『シオヤコレクション』代表。
ブラスバンド「三田村管打団?」メンバー。
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