11月30日のハイパー縁側は、原正彦さんをゲストにお迎えしました!
テーマは「Virtual Reality技術を用いた新たなリハビリテーション医療」

原さんはもともと心臓を専門にする医者ですがリハビリにも興味があり、こんなものがあったら良いのでは、とつくった医療機器で、患者さんが想像以上によくなったそう。

そこで2016年に大阪大学発ベンチャーで「mediVR」という会社を設立し、今に至ります。現在の医学では治らないとされている様々な病気のリハビリをしています。

mediVRの事業は、医学の分野では治すのが不可能といわれる病気を治すこと。脊髄損傷や脳性まひ、脳梗塞、パーキンソン病などあらゆる不治の病を改善しています。最初はうまくバランスを取れない・歩けない人だけを対象にしていましたが、現在では手などの機能・認知機能・慢性疼痛なども治せる事がわかっています。

開発したのは「カグラ」という医療機器。映像を見る装置を頭に取り付け、VR空間の中に出てくるものに手を伸ばすリーチングという作業を繰り返す機械です。医療関係者もなぜこのゲームのような機械で治るのかが分からない。しかし、患者さんが半年かけて改善しなかった事が、機械を使ってわずか20分で改善する事も。
カグラでのリハビリ前後でどれだけ改善したのか、驚きの映像をいくつも紹介してくださいました!

“不可能を可能に”

カグラでしている事は、体が間違えて覚えた脳のプログラムを書き直す、ブレイン・リプログラミング。体のどこかが悪くなってしまった人は通常、今までと同じ脳のプログラムで体を動かそうとしても、動けません。なので手であれば、故障した手をどうすればうまく動かせるか、機械を通じてもう一度、脳のプログラムを書き直しているのです。

カグラは発売して2年が経ちますが、最初の1年はそんなゲームのような機械で治るわけがない、と逆風ばかりだったそう。医療関係者や、投資家からも懐疑的にみられていたそうですが今秋、日本一のリハビリテーション学会の教育講演に出たこと等もあり、ようやく流れが変わってきたと話します。

原さんたちの考え方は、タイヤのパンクに例えられると話します。今の医学でやろうとしているのは、パンクしたタイヤを新しいものに取り替えるという発想。
一方で原さんたちは、パンクしたタイヤの穴を埋めてなんとか動けるようにしようという考え方。
どういう過程で動かしても、手が使えるようになればそれでいい、という発想です。

医学的にはこの機械でのリハビリは治っていないとみられる事もあるそうですが、患者さんが自分のやりたい事を出来るようになっているので、治っていると捉えます。

良くなった患者さんは、大人でも泣くことをみる事があるといいます。話を聞くと、何年ものきついリハビリで治らなかったものがたった20分でよくなり、自分の今までの時間を返して欲しいという悔しさと、良くなった嬉しさが複雑に混ざり合ったものだそうです。

日本では、きついリハビリをする事自体が美徳と捉えられることが多く、たとえ機能が改善していなかったとしても、そのまま続ける事が多いと話します。原さんはその考え方が好きではなく、楽して治るなら一番いいと考えます。もっと患者さんに向き合い、機能を改善させる、苦労をさせない考え方をもつべきだと考えています。

医学のエビデンスで最も重要だと言われているシステマティック・レビューでも、現在、VRは効き目がないという結論。「僕たちのリハビリは、今までの医学の常識を覆すものだ」と原さんは話します。海外進出の動きも現在進めており、VRのリハビリで世界を席巻したいと考えています。世界で一番を取らないと楽しくない!と奮い立っていらっしゃいます!

カグラのリハビリで、小さな子供が日々できることが増えるように、大人も日々成長していくそう。昨日できなかったことが、今日できるようになる喜びがあると笑顔で話します。リハビリ拠点は現在、全国26カ所にあり続々拡大中です!

医療の分野に普段なかなかふれない者にとっても衝撃のお話でした。世界を驚かせ、患者さんに寄り添う原さん達のこれからの活躍を応援したいですね!

【原 正彦】
株式会社mediVR 代表取締役社長
2005年 島根大学卒業(循環器内科専門医)。
神戸赤十字病院、大阪労災病院での研修後、大阪大学大学院医学系研究科での学位取得を経て2016年大阪大学発ベンチャーとして株式会社mediVRを設立。
2019年仮想現実(VR)技術を応用したリハビリテーション用医療機器「mediVRカグラ」の販売を開始。
2019年 島根大学地域包括ケア教育研究センター客員教授、査読英語論文 84編、米国心臓協会(AHA)及び米国心臓病学会(ACC)より若手研究員奨励賞を合計4回取得、International Heart Journalより年間最優秀論文賞を受賞。
著書「臨床研究立ち上げから英語論文発表まで最速最短で行うための極意」が医学書ベストセラー。
取得特許 14件、経済産業省主催ジャパンヘルスケアビジネスコンテスト最優秀賞受賞。
株式会社mediVR
mediVRカグラ