2021年10月12日のゲストは、人や動物のコンディションを整えるフリーランスセラピストの田代雄斗さん。テーマはフリーランスのススメ〜人や動物の健康をデザインする〜。

フリーランスを行う傍ら会社の経営も行ないながら、オリンピック/パラリンピックにも関わっていらっしゃる田代さん。いったいどんなお話が聞けるのでしょうか。

田代さんのご出身は愛知県の豊橋市。高校時代に「人の役に立つ仕事がしたい」と考え医療系か教育系に関心をもつなか、理学療法の道を志し京都大学の人間健康科学の門を叩きました。

大学時代はボート部に所属し、自ら体を鍛えつつ理学療法の勉強に励みます。

その後、「アスレチックトレーナー」の資格を目指して大学院に進学、腰痛の研究をしながら博士号を取得しました。ボート部の活動で腰痛に悩まされた経験、将来的にスポーツに関わりたいという夢が選択を支える動機になったといいます。

また、田代さんが在学中に腰痛治療で使用した機器が動物にも応用可能だったことなど様々な縁が重なり、競走馬のコンディショニングにも関わるようになりました。競走馬は無理な負荷がかかる中で疲労が蓄積し、アスリートさながらの調整をしています。一方で、人と馬では医療の体制がまったく違うのだと田代さんはいいます。

人間の場合は医師も看護師も理学療法士もいるが、動物は獣医さんがすべて診断を行います。リハビリに関心がある獣医さんもいるものの、専門的に理学療法を扱う人はなかなかいないそうです。そんななか、人間のアスリートに対する見識を応用できる人材はとても貴重な存在なのだそうです。

そもそも理学療法士とはどんなお仕事なのでしょうか。理学療法士とは体の障害に対してリハビリテーションや物理的な治療など国家資格が必要な医療行為を行う人たちです。活躍の幅も広く、公衆衛生にかかわる仕事として行政から民間企業、福祉施設にいたるまで職域が広がっているそうです。田代さんは競走馬のコンディショニングのような特殊な領域に関わる一方で、高齢化が進む日本社会において理学療法士の技能をいかして地域全体での健康支援やケガ予防にかかわる公益的な活動もしているそうです。

法人での活動は障害者支援が軸になっているといいます。田代さんは障害者スポーツをきっかけに障害者支援に関心をもち、そこで障害者の方たちが就業にビハインドを抱える様子を目の当たりにしました。自分ひとりでできることではない、社会的に取り組むべき課題であると感じ、法人の設立にいたったといいます。

法人の名前はHILUCO、日本神話に登場する障害を持ちながらものちに幸福の神となった”蛭子”からきているそうです。障害者に幸福で充実した生活をしてほしいという思いを込めて名前をつけました。

一方で、田代さんはフリーランスとしても活躍中で、競走馬の治療もフリーランスとしてのお仕事だそうです。フリーランスとして掲げているテーマは「人と動物の健康をデザインする」。人も動物も特別な治療などしなくても、生活を整えて本来の生き物の治癒力を引き出すことで充分健康になるといいます。サービス/生き方のデザインを通してみんなの健康を引き出す。そんなフリーランスの活動の中で、田代さんはフリーランスという働き方そのものも生き方のデザインとして一つの選択肢だといいます。

法人や組織で取り組んだほうがいい分野もある一方、新しい生き方として、さまざまな分野でフリーランスという生き方がひとつの選択肢になりつつあるといいます。たとえば、医療従事者は精神的な負荷がかかってしまうことが多いそうです。そういった人たちに新しい生き方を知ってもらうことで精神的に楽になってもらったり、それをきっかけに地域予防などの活動に取り組んでもらうことが、より健康的な社会につながっていくといいます。

まずはセラピスト/トレーナーのような同業者のメンタル改善をしながら、依頼のあった地域・人についてメンタル/身体の不調を解決していきたい。

フリーランスのような可能性があると知ってもらうだけで、今後の働き方を考えたり、自分に合った生き方を見つめなおすきっかけになる。田代さんはフリーランスという働き方を通して、仕事・生活・娯楽など生き方と健康をデザインします。