2021年8月27日のハイパー縁側@天満橋は、『キテミテ中之島』のコーディネーター 玉登ゆかりさんをゲストにお迎えしました!
テーマは“つづく!未来の大人たちへ。キテミテ中之島から”

夕暮れ時の美しい景色が広がる京阪シティモールの屋上。定刻になりハイパー縁側vol.5がスタートします。
冒頭から、「たまちゃんといいまーす!」と、とてもチャーミングな玉登さん。

そして、お召しになっている黄色のポロシャツには、なんと缶バッチがびっちり!
『キテミテ中之島』を始め、様々なアートイベントに関わってくれたアーティストの作品を缶バッチにして、プレゼントされているものだそうです。

まず玉登さんの成り立ちからトークセッションスタート。
玉登さんは兵庫県出身。芸術短期大学を卒業された後、中学校の先生を経て、テキスタイルデザイナーとして活躍されてこられました。
今は、「描いてー、造ってー」と言われたものは何でも引き受け、世の中のあらゆるものをデザインされています。

玉登さんがアートに目覚めたきっかけは、幼少期に遡ります。
ご両親がお商売をされていた為、一人遊びをする機会も多く、ものを描いたり造ったりして過ごされてきました。

そして、小学校の時に関西から横浜に転校。
今ほど、関西弁が全国に浸透していなかった時代に、関西では何気なく言う「アホ〜」のノリが関東では通じず、なかなか学校にも馴染めなかったそうです。

その状況を玉登さん自らアートの力で打開します。
自分の心の中を表現した絵を描く、また相手の気持ちを絵で表現する。相手とアートでキャッチボールすることで、同級生と自然に馴染めるようになったそう。

“上手には描けないけど、心を込めて描くだけ”と、玉登さんは言います。
もしすぐ上手に描けていたら、考えて描くことをやめていたかもしれない。このお絵描きは未だに続いている、という感覚だそうです。

絵を描くことは自己表現でもあり、コミュニケーションツールでもあり、さらには、自分が描いたもので人が笑ってくれたりする。「人に喜んでもらいたい」という気持ちは幼少期の体験から生まれたと話します。

この「人に喜んでもらいたい」という気持ちを再認識する出来事が起こったのは、女性の厄年にあたる年でした。
急に目が見えなくなり、3年間立つとこともできなくなったそうです。
当時、玉登さんはファッションショーのデザインをされていて、当たり前のようにデザインをして、当たり前のように買ってもらって・・・という生活でしたが、それが一変。

今までできたことが全部ゼロになり、生きていく必要性がなくなったのかな、神様に見放されたのか、と相当落ち込まれました。

“人に喜んでもらいたい”

そんな時、大学の同級生や、仕事関係のオーナーさんなどが交代で様子を見にきてくれました。「早く絵が描けるようになったらいいね。」とは一言もいわず、「あなたのデザインしたものや作品に包まれているのが嬉しいんだよ。だからここにいるんだよ。」と、優しく優しく、側で見守り続くけてくれたそうです。

そこで、自分のアートやデザインは、「描いて買ってもらって終わりじゃない!」
「永遠に人の心の中にあるし、ものがなくても感じた気持ちは消えない!」と感じ、様々な人のハートを喜びに導く仕事を、知らず知らずのうちにしていたことに、目が見えなくなって初めて気づいたと玉登さんは話します。

失明宣告までされていたのですが、周りのみんなが、有名な医者や鍼灸師を紹介してくれたり、側で支えてくれたことで、10年かけて目が見えるようになったそうです。
みんなの愛で治してもらったと、笑顔で語って頂きました。

そんな経験をされた玉登さん、「アートで人を支えたい」「アートによって日常に気づきを与えたい」という気持ちを強く持たれています。

そして、「ジャジャーン!」と勢いよく出したのは、『キテミテ中之島』のアートイベントのポスター!
10年も続いているこのイベントは、まず、『みんないきものがたり つづくよ どこまでも』をテーマに、みんなが描いてくれた絵を募集。その集まった作品を4名のアーティストがコラボレーション。

オーケストラで例えるなら、4名のアーティストが指揮者になり、みんなの絵がそこに入り込み参加することで、素敵な音が鳴り響き、想像がどんどんと広がっていくというものだそうです。

イベント当初、中之島駅のみに展示されていたものが、今では、中之島線の他の駅や図書館、国際会議場などにも飾られているそう。

『キテミテ中之島』は、人を集めたり、地域活性化する為のアートイベントではない、と玉登さんは言います。美術館やギャラリーのような箱物に展示するのではなく、駅や通路などで催すことで、“日常生活の公共の場が、色々な人のアートを楽しめて、物語に触れて、エネルギーをもらえる場になる”と話します。

また、アートによって人の心が動き、そんな気持ちを京阪電車が、人だけでなく、考えや文化と共に運ぶということが中之島を拠点に広がっていくというイメージだそうです!

「みんながアーティスト」ということで、子供だけでなく大人も、もちろん参加できます。大人はどうしても、自分が生きてきた道の中で判断してしまうので、こどもと一緒に柔軟に考える機会になればと、玉登さんは話します。

“きってみって きってみって なっかのっしまぁ〜♬”と歌まで披露して下さり、最後に締めの言葉を一言いただけますか?と尋ねると、「締めるのは嫌い。続けましょう!」

「たまちゃんでしたー!」と、最後まで元気よく笑顔で語って頂きました!
是非、皆さんキテミテ中之島に自らアーティストになって応募して、玉登さんが大好きな中之島のまちに足を運びましょう!

【玉登 ゆかり(たまと ゆかり)】
DESIGN DOT
◆略歴
1962年 兵庫県出身
1983年 奈良芸術短期大学専攻科卒業
1986年 デザインDOT入社
1999年 ドットアートコスモ右脳の洗脳ギャラリーを設立
現在は10年目を迎える“キテミテ中之島”のコーディネーターとして、まちの元気を発信中!
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駅からはじまるアートイベント「キテミテ中之島2021」