4月27日のハイパー縁側は、ビバレッジクリエイターの須澤 知佳さんをゲストにお迎えしました!テーマは「食を通じてひとづくり」。

ビバレッジは「水以外の飲み物」を指す言葉。須澤さんがされている「ビバレッジクリエイター」とはどんなお仕事なのでしょうか。早速お話をお聞きします。

須澤さんのキャリアは神戸の実家の近くにできたフランス料理店でサービスマンを始めたところからスタートしました。このレストランのバックヤードにエスプレッソマシンが置いてあり、最初は何もわからずにコーヒーを淹れていたといいます。
当時はまだ世間的にもエスプレッソは認知されておらず、教えてもらう相手もままならなかったそうです。

コーヒーを淹れるようになって5年、あるときテレビを見ていると当時日本でも数少なかった“バリスタ”の横山千尋さんが出演していた番組で「うさぎのラテアート」を描いているのを見て衝撃を受けました。

誰に聞いてもそのやり方がわからなかったため、レストランで一日一本の牛乳を使ってラテアートの練習を独学でするようになり、はじめの半年でやっと「もやしみたいなハート」のラテアートが描けるようになりました。

それから5年後、新しくカフェに配属になった須澤さんははじめて本職のバリスタさんに出会うことになります。この出会いがきっかけで、コーヒーの味や淹れ方について深く勉強するようになりました。

この頃から、飲料の専門学校で講師を始められた須澤さん。ラテアートから入ったバリスタの道ですが、コーヒーの味や香りに向き合うようになり、自分がそこまでコーヒーが好きではなかった事にも今更ながら気づいたといいます。周りがコーヒーについて深い専門性を身に着けていく一方で、当時の須澤さんは他の飲み物にも関心が移っていきました。

自分の強みが分からなくなり悩んでいた時、同僚に「コーヒーに特化していないところが強みだよ」と声をかけられたそう。そこから視点を広げて、「飲料」をテーマに飲食業界との向き合い方を教えられるようになりたい、という自分の方向性をみつけることができました。

“料理も空気も人がつくるもの”

お客様に喜んで頂くためのホスピタリティや気配り・会話を自然とできる人材を育てたい。「ビバレッジクリエイター」とは飲料を創るのではなく、食を通じて人をつくるお仕事だったのです。

現在、須澤さんは学校の講師を続ける傍ら、カフェのメニュー提供や従業員への技術指導・飲食店のコンサルタントなどを行いながら可能な範囲でカフェの営業をされています。

そんな須澤さん、飲食店の営業で大事なポイントは「人」だと言います。スタッフさんが快適に楽しく働き、その雰囲気が空気感を通してお客様にも伝わってくる、そういったお店が常連さんをつかみ繁盛する事が多いそうです。

須澤さんは飲食業界の課題について、こう指摘します。もともと飲食業というのは激務で間口の広い仕事という印象があるせいか、人の出入りも多くなりがちです。しかし、コロナによって間口が狭まり「誰でもいから雇う」ではなく「この人に働いて欲しい」、と育てる時代に変わりつつあります。
今、このような状況下で外食するならば、「つぶれてほしくない」と思えるようなお店に行くでしょう。そのためにも、飲食業界に携わる「人」が大事なのです。

飲食業界に限らず苦しい状態でありますが、飲食店を通じて地域の「ひと」が育まれていく、一日でもはやくそんな世の中になってほしいですね。

【須澤 知佳】
beverage creator
1982年生まれ。大阪府出身
飲食業歴18年
はじめは『家の近所におしゃれなレストランができる!おしゃれな所で働きたい!』と思って入ったバイト先にそのまま就職してしまったことがきっかけで、飲食業の道に。
様々業態を経験させていただき、現在、飲食店コンサルティング・飲食系スクール講師などで活動中。
beverage lab 彩佳堂