2021年3月19日のハイパー縁側は、吉田碧生さんをゲストにお迎えしました。
テーマは「アートと旅とまちづくりのおはなし」
吉田さんは社会人2年目。関西のインフラ企業で、不動産関連のお仕事をされています。
最初は、吉田さんの祖父がしていた青果卸売店のお話から始まります。野菜・果物を仕入れて卸す会社は多くある中で、なぜお客さんは祖父の店から買うのか気になっていたそう。
大学入学前に吉田さん自身もそこで働いて、祖父の姿勢をみて気づいたのは、いきなり商売の話をするのではなく、近況を話したりお客さんの声を聞いたりした上で野菜や果物のおすすめをしたりと、来るお客さんが何を求めているかを深く洞察していることでした。
そんな経験もあり、人や社会に対して還元する仕事を経営学という点で学びたいと考え、経営学部に進学します。今の会社に入ったのは、事業が生活の様々な部分で接点をもち、人や社会への貢献のインパクトが大きいと考えたからでした。
吉田さんは海外旅行がお好きで、学生時代にはレンタカーでアメリカをなんと2回も横断したそう。旅行に行くときはあまり目的を決めず、偶然通りかかった素敵なお店や、回り道をして新たな場所を発見できるのが魅力だと考えています。
ニューヨークをはじめ立ち寄ったまちの思い出や、服に興味があることから、各地で古着屋さんを回って受けた刺激について話してくださいました。
古着が好きな吉田さん。その理由は独特のにおいなど前の持ち主の雰囲気、その服と過ごした時間を感じられることだそう。今の自分にプラスして目に見えないなにかをまとえることが魅力だと話します。
古着屋に行くと店員さんと服の歴史や買付の話などをして、いつも新しいことを知ることができます。単純にものを買うだけでなく、お客さんに服を好きになってもらいたいと、商売の点では必要のないことも話してくれたりと人の思いがのったお店に魅力を感じています。何かを買いに行くよりもその人に会いに行く感覚があり、その点で祖父の青果店とも共通性を感じています。
“つくっている人の想いや背景に対してお金を払う”
吉田さんの世代は、生まれたときから大量生産・大量消費が当たり前の時代。でも今それが変わってきていると感じていて、つくっている人の想いや背景、コンセプトに対してお金を払うという感覚があると話します。
その関連で、吉田さんはアートにも興味を持つようになりました。アートイベントにスタッフとして関わるようになり、作家さんと直接お話する機会を持つようになりました。
アーティストが何を考えていて、どんな発想でこの作品を作ったかを直に知る経験を通じ、目に見える、役に立つものの対価というよりも、誰かへの応援や想いへの共感でお金を支払う感覚を最近持つようになってきました。
これをきっかけに、吉田さんは初めてアート作品を買いました。作家さんの思いに共感したのもありますが、買うと自分の生活にどう変化があるのかみたいとも思ったそう。毎日目につく所に置いていて、横や逆さにしたり、表面の凹凸をなぞったりすることでいつも新鮮な見方ができると感じています。また1つ買ったことで他の作家さんの作品も気になり、情報を追いかけるようになったそう。
アートとまちづくりという点では、絵を描くことに限らずまちの全員がアーティストだと考えています。美術館やギャラリーだけではなく街中に刺激を与えるものがあったり、人々の想像力、クリエイティビティを発揮できる場所があったらと考えています。
アートをより身近に感じるため、電車の中が美術館に変わり広告物がアート作品になるような、動く美術館のアイデアを吉田さん自身も温めているそうです!
アートと旅とまちづくり。様々な興味と経験からこれから幅を広げていく吉田さんの活動が楽しみですね!
【吉田 碧生(ヨシダ アオイ)】
ビジネスマン
1997年 大阪生まれ
小学生時代に複数回転校を経験し、10歳頃から大学を卒業するまで、兵庫県に在住。
大学進学前の春休み、震災後の東北地方を、はじめての一人旅で訪れる。
これをきっかけに旅をするようになり、東南アジアやアメリカ横断を2回行った。
最近、感動したのは夜行列車での旅。
学生時代は某アパレル会社の店舗スタッフとして4年間アルバイトを続け、その間海外での短期インターンシップなどにも参加。
2019年にインフラ会社に入社し、不動産部門に配属される。
現在は、コワーキングスペースの運営やスタートアップとの協業をメインに担当している。
プライベートでは、アートを身近に感じてもらうイベントを手伝ったり、古着屋巡りをしている。