2021年2月19日のハイパー縁側@東本願寺は、中村隆さんをゲストにお迎えしました。
テーマは「35年間見守り続けた京都駅前の賑わいの変遷」

中村さんは京都駅前で不動産業を営まれています。大学卒業後から家族が営んでいた旅館を手伝うようになり、お父様の病気をきっかけに旅館をやめて不動産業を始められました。

旅館の始まりは中村さんの曽祖父の代から。明治初期に現在の京都駅前にあたる土地を東本願寺から買わせてもらったそう。当時は何もない場所だったそうですが、数年後に目の前に京都駅ができて気がつくと駅前になり、寝る暇もないぐらい忙しくなるほど旅館業が繁盛したそうです。

中村さんはその4代目で、京都駅も同じく建て替えられてきて現在4代目。京都駅と共に歩んできました。この地域の建物や土地の歴史にとてもお詳しく、京都駅周辺の昔の様子や今に至る変遷のエピソードを写真とともにお話してくださいました。

平成に入って、京都駅前の問題として出てきたことの一つに不法駐輪がありました。600~700台もの自転車が京都駅前に常に置かれている状態だったそう。これは困るのでどうにかしようと、商店街でコーンやバーを置きましたがあまり効果がありませんでした。

そこで大きなプランターを設置し、花を植えてきれいな空間をつくる取り組みを進めて、違法駐輪が減っていきました。「気づけば20年続けて花咲じいさんをしているんです」と笑顔を見せます。

現在は、春と秋にプランターと花壇に花苗を植える活動をしています。メンテナンスをしていないとすぐ草が伸びて荒れてしまうので、商店街のメンバーで集まりお花を植える活動をしています。活動には若い人たちも参加してくれていて、活動を通じて自分の植えた花が育って、きれいな花壇を維持していきたいと少しでも思ってもらえればと考えています。
また「駅前を美しくする会」という月2回、朝1時間の京都駅前の清掃活動も行ってきました。初期はタバコ、空き缶・ペットボトルなどのゴミがたくさんあったそうですが、お年寄りから若い人まで参加人数も増えて関心をもってもらえるようになり、最近ではごみもだいぶ減ってきれいになっているそうです。
東本願寺前の市民緑地も、できてからがある意味スタートだと中村さんは考えています。協力をしてもらえるような仕掛けをつくって、地元の人が喜んで運営・維持管理に参加してもらえる公園になることで、20年、30年後も「きれいやな」と言ってもらえる市民緑地になってほしいと話します。

“人と人とのつながりが増える場所”

中村さんが子供の頃は地蔵盆などがあって、地域のつながりも強かったそうですが、最近ではすることも少なくつながりが薄くなってきているそうです。東本願寺前の市民緑地が起点となって、人と人とのつながりが増える場所になってくれればとお話されました。

最後には、京都駅前や東本願寺だけでなく西本願寺まで含めて、京都駅前エリアがつながるきっかけになればと次回登壇する宇佐美さんへバトンもつないでくださいました。

熱い想いのこもったお話で、市民緑地の未来への期待が膨らむ回でした!

【中村 隆】
新京都駅頭会 会長/株式会社菊岡家 代表取締役
1959年 京都市出身
1983年 合名会社菊岡家旅館入社
1986年 菊岡家旅館廃業
1995年 株式会社菊岡家 代表取締役就任
2001年 京都駅前駅頭会 会長就任
2002年 京都駅前駅頭会と京都駅前元町商店街合併。新京都駅頭会設立 副会長就任。
2012年 新京都駅頭会 会長就任
2000年頃よりひどくなってきた京都駅周辺の違法駐輪問題、交通問題に商店街として
取り組むようになり、2003年より京都駅前の花壇再生に取り組む。
以降17年間、毎年春と秋に花壇及びプランターに四季の花を植える活動を継続中。
京都駅前の美化活動に貢献しています。