2021年2月12日のハイパー縁側@東本願寺は、太田未来さんをゲストにお迎えしました!
テーマは「地域の人たちが作り出す”まちづくり”の楽しさ」

太田さんはコミュニティデザインの取組をするstudio-L(スタジオエル)で活動されています。コミュニティデザインとは、デザインの力でコミュニティがもつ課題解決力を高めるお手伝いをすること。地域の人が、自分たちの住む地域のために活動する機運を高めていけるよう、楽しさ・ワクワクを大事に活動を進めています。

太田さんがこれまで関わってきた事業の中にはここ東本願寺ともご縁があり、富山県南砺市にある井波別院瑞泉寺での寺院活性化プロジェクトがあります。

このプロジェクトでは、地域の参加者とまちあるきを通じて彫刻、お寺などまちの伝統ある地域資源を知り、数珠を使ったジュ・ジュエリーや寺院創建の歴史を体験できるスイーツなどユニークな新しいアイデアが出てきて、実現へ向けて進めています。

最初は参加者には男性が多かったのですが、今年度になって女性が増えてきたそう。なぜそうなったかというと、ジュ・ジュエリーのような具体的なアイデアが見えてきたから。そうすると他の人たちにも声をかけやすく、実際に参加しやすくなるのだそうです。

現在取り組まれている、草津川跡地プロジェクトについてもご紹介してくださいました。

これは、治水工事で廃川となった草津川の跡地を公園として利用するために、活用計画から運営まで地域の人たちと一緒に進めているプロジェクトです。2012年に計画を開始し2017年に一部完成しオープンした、全区間で7キロもの長い公園です。

計画にあたっては、ワークショップで出てきた地域の人たちのやりたいアイデアを公園の基本設計に落とし込みました。公園活用に向けては地域の人たちでチームをつくり、完成前から他の場所で活動の練習をして、参加費の設定や備品、チラシの作り方などを試行錯誤して準備を重ねてきたそう。
またワークショップを経て、公園での市民活動のコンセプトを”Symbol,Together,Raise”と定めたり、市民活動自体にも「くさねっこ」と愛称をつけて、カレッジや文化祭などを開催してきました!このように想いが言語化されていると人に伝えやすいと話します。
そのうちにプレーヤーとして来ていた地域の人が運営に関わりたいとなり、運営チームを結成してstudio-L・草津市とも共同で企画・運営をするように。活動ルールづくりについても運営チームで話し合い、みんなでつくる、チャレンジする、出会いの場をつくるなど5つの「作法」をまとめました。

“場の雰囲気が活動をつくる”

太田さんは草津川跡地公園での活動をする中で、「人は周りの人がやっていることに合わせて行動を変えられる。場の雰囲気がそこでの活動をつくる」と感じています。当初から関わっている地域の人はコンセプトや作法が体に染み付いていて、自分ごととして話しているそうです。
地域の参加者の関わり方も、一人一人が自分のやりたいことを主体的にやっていて、お客さんではなく一緒に草津川跡地公園を盛り上げる側になっていると感じています。

公園の活用の仕方として、雨が降る中屋根の下でみんなで本を読む、など雨の日だからこそ楽しめるプログラムのアイデアも最後にお話してくださいました。

東本願寺前でも、地域の人たちとこれからどんな取り組みが進んでいくのか、楽しみです!

【太田 未来】
studio-L コミュティデザイナー
1980年 横浜生まれ、すぐに引っ越したため静岡県富士市が地元。
2005年 大学院修了後に調査系のコンサルタント会社に就職。世論調査や自治体の計画策定などを担当。
2014年 studio-Lに合流するために大阪へ引っ越し。デザインの力を使って、コミュニティが持つ「課題解決力」を高めるよう支援するコミュニティデザイナーを目指し、全国のプロジェクトに関わる。
滋賀県草津市にある草津川跡地公園は合流直後に参加したプロジェクト。廃川となった跡地を公園にするプロジェクトで、設計段階から市民の声を反映するためのワークショップを担当。その後も市民が活動する公園を目指して活動主体の育成や運営の仕組みづくりなどを進めた。なお現在は指定管理事業者の一員として市民活動支援にあたる。
2015年 プロジェクトリーダーとして、愛知県安城市中心市街地拠点施設「アンフォーレ」の使い方を市民と考え活動主体を生み出すプロジェクトや、地元静岡県のプロジェクトにも関わる。静岡県松崎町の里山公園「牛原山」の整備計画を町民と共に策定するプロジェクト、三島市に本社のある加和太建設とともに、新しい住宅地のコミュニティデザインを考えるプロジェクトを担当。
2020年 真宗大谷派東本願寺の寺院活性化プロジェクトを担当。富山県南砺市にある井波別院瑞泉寺の魅力を伝えるために、お寺関係者や地域の人たちと共に“ものがたりのあるおみやげづくり”を進めている。