2020年7月17日のハイパー縁側は「コミュニティディベロップメント」を実践する東邦レオの吉田啓助さんをゲストにお迎えしました。
テーマは「“場”の空気感」

 

イギリスの商業施設「ポップ・ブリクストン」を例に、場の「寛容さ」がまちづくりには重要だとお話しされました。
ポップ・ブリクストンは自由な雰囲気で、様々な人種の方々が集まり活発に市民活動をされており、そこではみんながマイノリティだからこその「寛容さ・居心地の良さ」が生み出されている事に感銘を受けたそうです。

「これまでの社会は、街をセグメントに分けたり、人と人の間に境界線を作りすぎていたのではないか。」
何かを守ろうとして境界線はつくられますが、そのような閉じたコミュニティでは生きづらさを感じる人も出てきてしまいます。

 

“あかん”と言われるまでやってみる

そんな境界線に穴をあけるのは「よそ者」の役目だそうです。
その街の暗黙のルールを理解した上で、あえて「あかんと言われるまでやってみる」よそ者がいれば、それを「あかんやろ!」と怒ったり、「自分にも何かできるのでは」と思う地域の方が出てきて、境界線に穴があき、徐々に地域のポテンシャルが発揮されていく。

多様な考え方や相手のだめなところを受け入れてくれる。たとえ失敗しても、怒りながらも許してくれる。
そのような「寛容な空気」に加えて、視覚的に〈自然〉があることが、人々が集まってくる場所には必要なのではないかという議論になりました。

コンクリートなどの人工物しかない空間はドライな雰囲気になりますが、そこに植物などの自然があることで、安心感を感じられたり、自然体で過ごすことができる。
人工物と自然、無機的と有機的、直線的と曲線的、単純と複雑。
人もモノも、相反するものが共存する場所に人は寛容さを見出し、安心感や居心地の良さを感じるのかもしれませんね。

【吉田啓助】
東邦レオ株式会社 ディレクター
1978年8月8日、宮崎県えびの市出身。五児の父。
2001年に東邦レオ入社以降、都市開発に携わり緑を増やす仕事に従事してきたが、自身が携わった緑が数年後に大半が荒れている事にショックを受ける。
「良い緑は、人の良い縁の中にある」と気づき、2012年に集合住宅で、植栽管理と住民同士のコミュニティ形成を実現するクリエイティブグリーン事業を立上げ、自身も千葉県市川市にある築40年の「ハイタウン塩浜」で暮らし始める。全国で150のマンション管理組合との取り組みの中から、自治運営や高経年団地の課題に気づき、2018年から団地再生事業に取り組み始め、自身の住む団地の商店街に「みどりTOゆかり」という多世代交流拠点のカフェを創り、運営を始める。
全国のエリアマネジメント拠点の立上げに携わりながら、2019年より福岡県宗像市にある日の里団地の再生事業に取組み日々奮闘している。
「人の心に火をつける!」をモットーに、東邦レオが掲げる「コミュニティデベロップメント」を実践中である。