2026年9月2日のハイパー縁側@中山台は、上田 真弥さんをゲストにお迎えしました!
テーマは 「ゼロからの挑戦 “小さな幸せをわかちあう、NANA FARM”」
中山台在住の上田さん。同じ宝塚市の切畑(きりはた)という地域で、61品種・700本以上のブルーベリーを育て、摘み取り体験ができる「NANA FARM」を運営しています。また、敷地内の小屋(カフェ)では、ブルーベリーをふんだんに使ったかき氷やワッフル、ピザ、ドリンクなどを楽しむことができます。そんな「NANA FARM」をゼロから作り上げた上田さんの想いと、上田さんの挑戦を伴走してこられた宝塚市役所・農の魅力創造課の岡村さんに、上田さんの魅力について語っていただきます!
「NANA FARM」は、上田さんご夫婦で営んでいます。代表は旦那様ですが、「私が影の支配者です」と、笑います。旦那様はもともと鉄工業に携わっていて、上田さんは保育士をしていました。そんなご夫婦が、全く未経験の農園づくりをしようと決意したのは、娘の七菜さんを亡くしたことがきっかけでした。
ブルーベリー農園を開くことを決めたのは、「娘の名前が入った場所をつくりたい。七菜が私たちの元に生まれてきてくれたことを形にしたい。これからもずっと七菜と一緒に生きていきたい。」という想いからでした。ブルーベリー農園を選択したのは、たまたまブルーベリーで起業した方の本を読み、「できるかも、やってみよう」と思えたからだそう。その後、宝塚市の農政課(現・農の魅力創造課)へ相談に駆け込み、上田さんの挑戦はスタートしました。
しかし、初めてのチャレンジは壁だらけ。土地探しから困難を極めました。上田さんが希望する、摘み取り用の畑と、小屋を建てられるまとまった広い土地は、なかなか見つかりません。行政の担当の方も、何度も何度も現場へ足を運んでくれた、と言います。そうした中で、ダメ元で相談に訪れた土地の所有者の方から、「隣の畑なら空いているよ」と声をかけてもらいます。奇跡的なご縁が繋がり、現在の切畑の地に巡り着くことができました。
一時は、現実的な費用負担の大きさに「今なら引き返せるかもしれない」と、諦めかけたこともあった、と打ち明ける上田さん。そんな時、前を向かせてくれたのが旦那様の「それでもやりたい」という一言でした。普段は寡黙で、上田さんの挑戦をそっと支える旦那様が見せた強い意志。「同じ想いなんだな」と感じた上田さんは、「2人で一緒にやっていこう!」と覚悟を決めた、と言います。
覚悟を決め、土地が定まってからも、難題は次々と押し寄せました。農地は、建築制限が厳しく、さらに水道管が通っていないため、水を引くことすらできない場所でした。井戸を掘って水がでるかどうか調べることが必要ですが、土地を購入しないと井戸は掘れません。建築許可が下りるか、水が出るかもわからない。
そんな「二重のギャンブル」に挑む上田さんの背中を力強く押したのは、ブルーベリー農園をしたいと相談に行った当初の行政の担当者の「ここで許可を取れなければ、宝塚の農業の未来はない」という熱い言葉と、現行政担当者の「一緒に頑張りましょう!」と常々共に歩もうとしてくれるサポートでした。その熱意に「一緒に闘ってくれるんだ」と共鳴し、土地の購入を決意します。様々な壁にぶつかっても上田さんが決して諦めなかったのは、たくさんの人が応援してくれている事が心の支えになっていたから、と振り返ります。
上田さんらは、コストを少しでも抑えるため、工夫を凝らします。旦那様は、鉄鋼業の経験を生かし鉄骨の架台を自作。造成工事で出てきた大きな石は、廃棄するにも費用がかかるので、ロックガーデン風にアレンジしたりと、夫婦で汗を流しました。小屋の外観やドアの色についても制約があり、何度も設計図を書き直すことも。
水色の壁に白いドアという上田さんの夢は叶いませんでしたが、白い壁に水色のドアと色使いを逆にすることで、可愛らしい小屋を完成させました。そして、6年間にも及ぶ手探りの準備期間を経て、2025年7月7日、七夕の日に「NANA FARM」は、無事にオープンを果たしました。
「できないことは、できない」と、上田さんは言い切ります。「教えてください」「助けてください」と周りに素直に言ってしまうタイプ、と自身を分析します。岡村さんは、上田さんは努力なしに助けを求めているのではなく、誰よりも一生懸命向き合って努力をしているから、周りが「助けたい」「力になりたい」という気持ちになる。当初、上田さんの計画はざっくりしたものでしたが、年月が経つにつれ、上田さんの考えも固まり「こうしたい」という想いも強く、方向性も決まっていったので、サポートもしやすかった、と話します。
カフェのメニューについては、お菓子作りが得意なママ友が、親身になって考えてくれました。また、今お店で一緒に働いているスタッフの方は、「ここで働きたい」と、自ら申し出てくれたのだとか。数え切れないほどの人々の優しさに支えられてきた、と上田さんは笑顔で語ります。
“みんなで育む、温かな居場所”
「NANA FARM」が目指すのは、単にブルーベリーを売る場所ではなく、お客様を「おかえり」と迎え入れるような温かい場所。上田さんは、どれだけ忙しくても、訪れた1人1人と笑顔で言葉を交わす時間を大切にしています。
摘み取り体験ができるのは、6月から8月頃までの3ヶ月ほど。限られた期間のオープンを楽しみに、「また来年も来たい」と思ってもらいたい。この場所で笑顔になってほしい、と心から願っています。
目の前にあることを一生懸命する。すると、自然と自分に足りないところを埋めてくれる方が現れるということを体感した上田さん。人間関係にも言えることで、積極的なコミュニケーションを続けることで、心の距離が縮まったというエピソードも。
岡村さんも、上田さんが密なコミュニケーションをとり続けることで、周りのサポーターを増やし、信頼を得てきた、と感じています。これから新たな挑戦する方に対して、一生懸命向き合っていたら助けてくれる人もいる。「一緒に頑張りましょう!」と熱いエールを送って下さいました!
「NANA FARM」を訪れたことのあるお客様からは、今年のオープン期間が終わってしまって寂しい。また来年楽しみにしているという声も。上田さんにとって、ブルーベリーを育てるのも初めてだし、お店を開くのも初めて。自信がなく不安だらけの中で、何回も来てくれるリピーターさんの顔を見ると、本当にホッとする。とてもありがたい存在だ、と上田さんはしみじみ語ります。お互いにとって、なくてはならない関係性が生まれています。
様々な困難を、七菜さんへの愛情と、持ち前の行動力と直向きさで乗り越えてきた上田さんご夫婦。お2人が醸し出す「おかえり」という温かな空気感に包まれ、「NANA FARM」はこれからもたくさんの人に愛され、帰りたくなる場所になっていきそうですね!
「NANA FARM」が紡ぎ出す温かなストーリーや笑顔の輪は、地域に根付き、ますます広がっていきます!
ブルーベリー農園 NANA FARM
NANA FARMの上田稔と真弥です。2人とも宝塚の安倉出身の同級生夫婦です。
主人は中学を卒業してから、定時制高校に通いながら鉄鋼の仕事をしてきた、ものづくりが得意な職人さんです。
私は長女を産む直前まで、保育士として働いていました。
農業とは全く無縁だった2人ですが、娘・七菜の名前のついた農園を作りたい!という思いで6年前から動き出し、ブルーベリーを切畑で育てるために、中山五月台に引っ越してきました。そして、去年の7月7日(ななの日)に、ブルーベリー農園NANA FARMをオープンさせました。
ブルーベリー農園 NANA FARM
