2026年4月26日のハイパー縁側@中山台は、くやま ふみさんをゲストにお迎えしました!
テーマは「問いと責任ある行動で、未来を拓く」
くやまさんは、兵庫県三田市のご出身。自然豊かな環境で育ちました。お母様が、農薬や添加物を極力避ける「自然派」の考えで、「食」にかなり気をつける生活だったそう。くやまさんのご兄弟全員、小・中学校の9年間、給食を一度も食べたことがないという徹底ぶり。
「添加物が気になって」というのは言いづらく、「うちは、お肉を食べないベジタリアンなので」という理由をつけ、毎日お弁当を持参していました。当時は、「変わった家庭の子」と思われるのが嫌だったので、「とても窮屈な思いをしていた」と、打ち明けます。
幼い頃からピアノを習っていたくやまさんは、高校卒業後ピアノの道へ進みます。縁がありオーストラリアの音楽大学へ留学。ロシア人の先生のもとで本格的な指導を受け、5年半におよぶ海外生活を経験しました。
帰国後は、演奏活動をしながら、子どもたちにピアノと英語を教える日々でした。幼少期の反動もあり、留学中や帰国直後は外食を頻繁にしたり、添加物も気にせず口にする生活だった、と言います。すると、その頃から原因不明の蕁麻疹や、風邪に悩まされるようになり、知らず知らずのうちに「食」の影響を身体で感じ始めていた、と語ります。
「食」の大切さに改めて気づき、食生活を見直したくやまさんですが、「自分が子育てをする時は、あんな窮屈な思いはさせたくない」と考えていました。だから、結婚してお子さんが生まれてからも、「食にこだわっていること」を周囲に隠していたそう。「変な家庭だと思われたくない」という過去の苦い経験からです。しかし、それなりに食生活に気をつけていたにも関わらず、上のお子さんには小さなころから断続的に湿疹が出ていて、小学生のときには習い事のバレエのレッスン中に、硬直して倒れてしまうということがありました。
病院へ行っても「原因はわからないけれど、これ(薬)を塗っておいて」「頻繁に起こらないなら、とりあえず様子をみましょう」と言われるだけ。納得がいかなかったくやまさんは、「自分で勉強するしかない」と、決意します。さらに同時期、「食」にかなり気をつけていたお母様が癌で亡くなったことも、くやまさんの探究心に火をつけます。
「お母さんは、あんなに気をつけていたのになぜ?」という疑問、そして「我が子の不調の原因を知りたい」という切実な思い。「食が身体を作っている」というお母様の考えが染み込んでいたこともあり、「原因が必ずあるのではないか」と感じたくやまさん。分子栄養学や代謝学といった専門的な分野を、本格的に学び始めます。食べた栄養素が体の中でどう使われるのか、その仕組みを深く知ることで、それまでの疑問が1つずつ紐解かれていった、と言います。
くやまさんがたどり着いた答えは、単に「体に良いとされるものを選ぶ」だけでは十分ではなかったということでした。重要なのは、“量とバランス”。くやまさんのお子さんのケースでは、必要なミネラルやタンパク質が足りていなかったことが判明しました。体の負担になるものを知って避け、不足していた栄養素を補うよう食事の内容を見直した結果、お子さんの湿疹やバレエのレッスン中に倒れるといった深刻な不調は劇的に改善されました。
「なぜなのか?」と問いを出し、自分で調べて納得しないと前に進めないというくやまさんですが、学生時代は言われたことを卒なくこなすタイプだったそう。変わるきっかけは、子育て。子どもに「なんで?」ときかれたら「自分で考えてみて」「自分で調べてみて」と言っているのに、「自分はどうだろう?」と自身を顧みた、と言います。子育てを通じて、問いを出し、納得するまで学ぶようになった、と実感しています。
子どもの不調と向き合う経験をし、自分が学びを深める中で得た知識を「もっと早く知っておきたかった」と強く感じたくやまさん。食に気をつけていることを隠している場合じゃない、今、子育て真っ最中のお母さんたちにも「伝えたい、伝えなければならない」という思いが芽生えます。そこで、勤めている保育園の保護者の方へ向け、伝える活動をスタート。
最初は、添加物や農薬などのリスクを伝えるだけになってしまい、お母さんたちを不安にさせてしまったという失敗談も。そこから学び、今は「リスクを知った上で、どう対策して日々の食事に落とし込むか」に重きを置き、無理なく実践できて前向きに食を楽しめるような伝え方になったそう。現在は『朝ごはん学』という講座を主宰し、身体の仕組みから考えた食事の摂り方を伝えています。実際に講座を受けた保護者の方からは、「子どもに変化が表れた」という嬉しい報告も。くやまさんは、「もっとたくさんの人に伝えていきたい」と、笑顔で語ります。
近年、医療技術は進歩しているはずなのに、人口は減り続け、医療技術は進歩しているはずなのに、国民医療費は毎年増え続けています。また、くやまさんは病気の若年齢化についても指摘します。原因は食生活だけとは言い切れませんが、「食」は絶対に関係している、と考えています。そんなくやまさんの活動は、自身のお子さんだけでも職場だけでもなく、地域や社会全体に広がっていきます。
“疑問があれば、行動する”
くやまさんは、給食の牛乳の選択制やパンの小麦の質などについて、校長先生や教育委員会と直接対話し、改善する取り組みも行っています。きっかけは、中学生になった娘さんからの「お母さんはお金を払って(飲まない牛乳を)無駄にしている。それってどうなの?」という鋭い指摘でした。“沈黙は容認だ”という言葉を胸に、くやまさんは勇気を持って行動に移しました。何も言わなかったら、受け入れたということになる。「疑問があれば、行動するべき」と、くやまさんは熱く語ります。
動いてみて分かったのは、行政側には柔軟な対応の土壌があったものの、現場まで情報が届いていなかったという事実でした。そこで、次は「なぜ、学校にまで届かないのか?」という新たな「なぜ?」が生まれ、さらにくやまさんの活動が続いていきます。
「なぜ?」という問いと、それに基づく責任ある行動が、少しずつ地域のシステムをも動かし始めています。くやまさんは、「食に気をつけることは特別なことではなく、当たり前の社会になってほしい」と願っています。
子どもたちに、より良い社会を残したい。大人が不平不満を言うだけでは、何も変わらない。まずは、自ら問いを立て、納得して行動を起こして、未来を創る背中を見せることが大切。行動することで、同じような志をもつ仲間に出会い、情報交換をしたり、周りを巻き込むことができる。くやまさんは、地道な活動を続けていくことで、広がりをや繋がりを実感しています。
お子さんに「お母さんは、変わりもんやな」と思われている、と笑うくやまさん。しかし、「おかしいと感じたことは伝える」「動けば変わる」ということが、子どもにちゃんと伝わっているのではないかと感じています。会場の保育園の園長先生からも、くやまさんから学ぶ事が多く「頼もしいパートナー」と、信頼を寄せられています。
最後に、「もやもやするのだったら、一歩踏み出してみる」と、力強いアドバイスをいただきました!
問い続ける姿勢と、勇気と覚悟ある行動で、自分だけでなく家族・地域・社会の未来を少しずつ、かつ力強く拓いていく。くやまさんの姿は逞しく、多くの人の背中を押してくれています!
保育士 / リトミック講師 / 栄養療法アドバイザー
「なぜ、色々なことに気をつけているのに娘に不調が出続けるのか」。その切実な問いこそが、彼女の活動の原点である。
ピアニストとして表現の深淵を究めてきた彼女は、愛娘の体調異変をきっかけに、現代の食文化に潜む違和感に正面から向き合った。決して人任せにせず、納得がいくまで自ら調べ、学び、責任を持って行動する。
食の土台を体のしくみから学び、整えることでわが子の不調を改善へと導き、その学びを周りにも伝えていかねばならないと使命感を持って進み続ける彼女の歩みは、次世代のために今何ができるか私たちに問いかけている。
