2024年10月10日のハイパー縁側@淀屋橋は、杉山岳彦さんをゲストにお迎えしました!
テーマは 「こころまちつくろう〜淀屋橋から、中之島・京阪沿線が交わる・つながる〜」

昨年10月のハイパー縁側@私市に続いて、2回目のご登壇となる杉山さん。「お客様の顔が見えるまちづくりをしたい」と京阪ホールディングスに入社し、不動産開発に携わってきました。「お客様の顔が見えすぎて、困っています」と笑いながら、本日は中之島エリアのまちづくりについて語っていただきます!

京阪のスローガンは、“こころまちつくろう”。「お客様に心待ちにされるようなサービスを提供しよう」「心が通い合うまちをつくろう」という想いが込められています。そのスローガンを背景にテーマとして設定するのが、“駅から始まるまちづくり”。

これまでの100年、鉄道会社として不動産開発に取り組んできました。これからの100年を考えた時に、京阪から一方的なサービス提供をするスタイルは求められていない、と杉山さんは言い切ります。次の100年は、駅という経営資源をベースとし、お客様と一緒にお客様と交わる空間づくりやまちづくりに取り組んでいきたい、と考えています。そのシンボルとして、トライエリアに選び着手しているのが、中之島エリアです。

杉山さんは、中之島の大きな魅力を2つあげます。1つ目は美術館や科学館など、文化施設が充実しているところ。2つ目は川に囲まれた中之島は水辺があり、橋がかかり、都会にいながら自然を感じる事ができる公共空間が広がっているところ。去年から、この中之島の魅力を伝えようと、橋上に人工芝を敷き、ビールを楽しんだり、寝転がったり、ゆっくり過ごせる空間づくりをしてきました。「橋の上でこんな事できるよ」「こんな過ごし方ができるよ」という新しい提案をしています。

そして、今年度は人道橋である、中之島ガーデンブリッジ・水晶橋・錦橋・本町橋の4つの橋を対象に、「憩い」「学び」「飲食」「スポーツ」など、様々なコンテンツを用意し、さらに魅力的な空間を創出。

杉山さんは、全く知らない人に来てもらう事は難しいので、まずは日頃、中之島で働くワーカーの方に過ごしてもらいたい、と言います。その為に、ワーカーの方が好きなコンテンツや空間とは何か、を模索しながら進めているそう。

10月11日・12日は、中之島ガーデンブリッジ・錦橋の2橋でイベントが行われます。平日の金曜日に開催する事で、ワーカーの方のランチ難民の緩和にも寄与できるのではないか。また、そのまま橋上で仕事できるような空間も提供していきたい、と考えています。夕方からは学校帰りの子どもたちに向け、紙芝居や発表会などのプログラムも用意されていたり、音楽を楽しめる空間がつくられていきます。

翌日の土曜日は週末なので、違う客層になる事が予想できます。上空からではなく、水上から見る橋やまちはどのようなのか、船から360度撮った映像でVR体験のできるコンテンツも楽しめます。普段は見る事ができない橋の裏側が見え、橋の魅力を感じてもらうのが狙い。
そして、最終的には京阪が運営する水上バスに乗ってもらいたい、という杉山さんの本心も、爽やかな笑顔と一緒に覗かせます。この『水都大阪ブリッジテラス』は、翌々週には水晶橋・本町橋でも行われる予定です。

10年ほど前、中之島エリアは昼間は人通りがあるものの、夜にはバッタリ人がいなくなる、働きにくるためのまちでした。夜の中之島を盛り上げようと、働く方を集め「盆踊り大会」を始めた、と言います。そんな中之島界隈の様相が変わってきた、と杉山さんは指摘します。マンションが次々と建設され、生活する人々が増加。それに伴い、小中一貫校も開校しました。中之島は、ワーカーのまちから変化を遂げています。「盆踊り大会」にも、当初は見られなかった家族連れの姿が、この2、3年で多く見られるようになったそう。

今までは、民間主導で行ってきた「盆踊り大会」。住人が増えた今、地域の方の意見を取り入れ、地域主導のイベントに転換していく時期だと杉山さんは考えています。継続するには、地域の皆様の力が必須で、住人が活動する仕組みづくりをしていかないといけない。これからのまちづくりの在り方は、そうであるべきだと語ります。

“愛される駅・愛されるまち”

中之島エリアは、水辺で夜景を眺める事ができるのも魅力。杉山さんは、家でもない・仕事場でもない“サードプレイス”としての素晴らしさも発信していきたい、と考えています。そして、仕事場として訪れる人にも、住んでいる人にも“愛着のある駅”や、“愛着のあるまち”に育てていきたい、と話します。

淀屋橋駅の乗降客の数%しかない、京阪交野線の私市駅。駅前広場は、京阪が所有していますが、建物を建てるメリットもないので、活用される事がありませんでした。その広場を、地域の方が主体となって交わる場をつくる事で、地域が活性化した例があったそう。

私市住人で、私市のイベントをつくってきた東邦レオの勝谷さんは、上から目線ではなく“地域目線”で一緒に動いてくれるところが杉山さんや京阪という会社の魅力だ、と感じています。杉山さんは、京阪は様々な事業を展開しているが、やはり最終的には電車に乗って頂きたい、と言います。365日、電車を走らせてもらって、駅があって、まちがある。その駅や駅周り、そして京阪を好きになってもらいたい想いが強い、と語ります。

東邦レオの久米さんは、同世代が入居し、一気に高齢化を迎えるニュータウン開発について質問。杉山さんはまさに今、その問題と向き合い、少しずつ施策に取り組んでいる最中だ、と答えます。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の建設を検討したり、駅前の商業施設のテナント構成を考え、若い世代が住みたくなる工夫を施しています。最近、建設したマンションは分譲にすると同世代が集まるので、賃貸にするという選択をした、と言います。

また、鉄道というインフラを持ってはいないが、ガスというインフラを持つ大阪ガスや、淀屋橋という場に対してのアドバイスを求めると、「難しいなぁ…」と、頭を抱える杉山さん。電車は、目に見えるので、分かりやすく子ども受けもいい。ガスに関しては、目に見えないからこそ、地域のインフラを守っている大きなガス管を、子どもたちが見る機会をつくるのはどうか、と提案します。

また、淀屋橋は企業が多数揃うオフィス街というのが特徴なので、『キッザニア』のイメージで、子どもたちが様々な会社に触れられる場にしてはどうか。さらに、「GAS STAND」の活用についても、学生や仕事終わりのワーカーの方が、フットサルなどのスポーツができたら楽しい。スケートパークもいいと、悩みながらもたくさんのアイデアを出して下さり盛り上がりました!

“愛される駅・愛されるまち”を目指し続ける杉山さん。これからも、京阪沿線のイメージを変える仕事に携わっていきたい、と意気込みます。そのイメージを変える為には、着手している淀屋橋、中之島エリアで、“こころまち”をつくる事が不可欠。また、IRが実現化すると、人の流れやまちの様子に変化がもたらされます。中之島を通過するエリアではなく、立ち止まってもらうエリアにしていきたい、と力強く話します。

杉山さんは、“まちは変わる”事を実感しながら、5年後、10年後、100年後のまちに想いを馳せ「明日以降も、このエリアに出没します!」と、笑顔で語って下さいました!

【杉山 岳彦(すぎやま たけひこ)】
京阪ホールディングス株式会社 経営企画室 不動産賃貸担当 兼 体験価値共創担当
父親の仕事で、高知・新潟・三重・大分・三重・岐阜と、幼稚園2園・小学校4校を転々。
その影響からか大学も横浜・神戸と2校で過ごし、2000年に人生10回目の引っ越しで、転勤の無いローカル会社(京阪電気鉄道)へ入社。入社理由は、「駅に行けば、お客さまの顔を見ることができるから」。
入社前の修士論文テーマは「大手私鉄企業の多角化戦略」。
鉄道会社って、なぜ鉄道事業だけでなく、不動産・スーパーマーケット・百貨店・コンビニ・ホテル・遊園地など、いろんな事業に手を出すのだろう?を勉強していました。
入社3年目からの2年5ヶ月間の京阪園芸でのガーデニングショップ立ち上げ・運営以外は、不動産開発事業に従事。京阪東ローズタウン(松井山手)でのニュータウン開発・淀にある鉄道車庫用地での物流施設(京阪淀ロジスティクスヤード)開発・近江舞子でのグランピング施設(エバーグレイズ琵琶湖)開発・けいはんな学術研究都市での企業誘致などを担当。
昨年、中之島エリアが持つ魅力を体感いただく機会を創出・発信する事業「中之島パビリオンフェスティバル2025」の企画に、11社学館の事務局として着手。また、中之島に架かる人道橋である中之島ガーデンブリッジをはじめ4つの橋の更なる魅力向上を目指す「水都大阪ブリッジテラス」のメンバーとして、中之島エリアで交える・つなげる試みに挑んでいます。
京阪ホールディングス株式会社
水都大阪ブリッジテラス