2024年11月3日のハイパー縁側@私市は、齊藤清志さんと柏本優介さんをゲストにお迎えしました!
テーマは 「交野がもつ観光地の可能性」
11月の「キサイチゲート」は、私市駅から歩いて8分、スポーツ・文化センター「星の里いわふね」と連携して開催。2024年3月に初開催した『酒森〜関西のクラフトビールと交野の地酒フェス』の第2回目の会場となっています。心地よい秋晴れの中、交野市内外から幅広い世代の人々が訪れ賑わいます。
『酒森』のテーマは、1回目に続いて「森の中でくつろぎと感動を」。皆さん、思い思いの場所に腰をかけ、木々や川のせせらぎを感じながら、クラフトビールや地酒、フードを楽しんでいます。

2023年4月より「星の里いわふね」の責任者を務める齊藤さん。午前中から、ビールを片手に生演奏やパフォーマンスが繰り広げられ、施設内ではダンスのイベントが開催される風景を目にし、「カオスな感じが、いいですね」と笑顔で話します。
齊藤さんが所属する指定管理会社 シンコースポーツ株式会社は、全国の体育館やプールなどのスポーツ施設の指定管理に特化しています。今回、「星の里いわふね」のような文化的施設の管理は、未開拓のフィールドでチャレンジングだと言います。

と、齊藤さんが語る中で、交野の里山を駆け抜けてきた、トレイルランナーの参加者が賑やかにゴール!私市駅を10時に出発し、3時間ほどかけて、山々をぐるっと周って帰ってこられました。企画している「ソトアソ」の比嘉さんは、「天気も良く、風も気持ちよかったです!」と、爽やかに答えて下さり、「BEERun(ビアラン)」という名の通り、みんな一緒にビールで乾杯!
交野の豊かな自然と、交野産のクラフトビールを味わえる、まさに交野の資源を生かしたコンテンツです。乾杯と写真撮影で盛り上がり、さらにカオス度が増した会場。齊藤さんは今日のような、アウトドア・インドア・スポーツ・文化が、“ボーダレス”に交わるような、この施設ならではの景色を創れるように今後も力を入れていきたい、と話します。

交野市のシンボルであり、多くのハイキング客が訪れる吊り橋「星のブランコ」がある「ほしだの森」。「ほしだの森」など、大阪府内にある9つの森を合わせて「大阪府民の森」と言います。柏本さんは、そのうち交野市の「ほしだの森」「くろんどの森」などを含む、7つの森の統括所長を務めています。隣接する「星の里いわふね」と連携しながら、まちの活性化に取り組んでいます。
大阪府柏原市に住む柏本さんは、2022年に所長に就任するまで、「大阪府民の森」の存在を知らなかった、と申し訳なさそうに打ち明けます。「森」ときくと、まちから遠いイメージをもちますが、「府民の森」は市街地から近く、フラっと立ち寄れる。気軽にアクセスできるのに、こんなに豊かな自然に触れる事ができるのは、とても魅力的だと語ります。柏本さんのように、府内に住んでいても知らない人が多いというのは、本当にもったいない。色々なメディア媒体を使いながら発信し、広く知ってもらう活動を続けていきたい、と考えています。

奈良在住の齊藤さんも、交野の自然を魅力的に感じているのと同時に、交野の「人」にも魅力を感じています。「星の里いわふね」で交野のスタッフと働くようになり気づいた事は、みんな“郷土愛”が強い事。地域の文化や歴史に精通している人が多く、まちの良さをたくさん知っている。そして、「交野は、ほんまにいいとこ」と、皆さん胸を張っている姿が印象的だと言います。
ただ、地元の人が知るまちの魅力を、外から来る人は知らない。地元の情報が行き届いていないので、目に付く観光地のみを訪れる観光客。滞在時間が短く、立地も相まって「通過点」になってしまっている、と交野の課題を柏本さんは指摘します。柏本さんが住む柏原市も、共通の課題があるそう。柏原には、特産の葡萄を生かしたワイナリーがありますが、時期を過ぎると、訪れる人は減っていまいます。
交野でもハイキング時期の賑わいは、1年を通じて期待できません。柏本さんは、全体の人口が減少していく中で、まちと関わる“関係人口”をいかに増やしていけるかが大切だ、と提案します。

コロナ禍で、キャンプなどのアウトドアを楽しむ人や、自然の中でリフレッシュする良さを改めて感じた人も多い。交野にはその資源があるので、トレランのような、自然をうまく生かしたコンテンツをもっと開発していきたい、とお2人は考えています。
そんな中、柏本さんが自主事業として始めたのが、週末と祝日に楽しめる「星のブランコ」のイルミネーション。通常、施設は17時までしか利用できませんが、イルミネーション期間は、21時まで利用でき、いつもなら体験できない、夜の自然を満喫する事ができます。また、「くろんどの森」では、閉鎖していたキャンプ場をリニューアルし、日帰りバーベキューを楽しめるようになりました。

地元の方と積極的に交流していく事で、知らなかった事を炙り出したり、利用者の方の声に耳を傾けるようにしている齊藤さん。指定管理者として、得た情報をコツコツと地道に発信していく事が大事ではないか、と語ります。そんな齊藤さんの元には、様々な声が集まっています。
「星の里いわふね」の向かい側にある、老朽化しているフィールドアスレチックの改修を求める声も多いのだとか。復元するだけでなく、幅広い世代の方が使えるものに変えていきたい、と考えています。また、「星の里いわふね」には室内施設もあり、広い敷地もあるので、アウトドアとインドアの架け橋になるような取り組みができたら面白い、と構想を膨らませています。

“ボーダレスに交わる”
ただ、ハード面を整えるには、資金が必要です。資金繰りは難題、と頭を抱えるお2人ですが、「最終的には、人の力ではないか」と柏本さんは感じています。齊藤さんも、“郷土愛”の強いスタッフから、「まちをよりよくしよう」という意見や提案も多い、と言います。交野の魅力である“ソフト力”を生かし、ハード面をカバーしていく事が必要になってきます。今回の『酒森』のように、人の想いが結集すれば形になり、その熱量で人は集う。しかし、単発で終わるのではなく、持続性がないと意味がない。このようなイベントをきっかけとして、新しい繋がりや新しい仕掛けにしていく。5年10年先を見据え、熱量を持ち続けていく事が大切だ、と考えています。
お2人の指定管理者としての任期は、2032年まで。柏本さんは、それまでに大阪府民880万人に、「大阪府民の森」の認知がいきわたり、世間話で「府民の森」についての会話が弾むような光景を目指しています。そして、普段から気軽に訪れたくなり、魅力を宣伝したくなるような「府民の森」にしていきたい、と意気込みます。
齊藤さんが目指すのは、「星の里いわふね」を「ほしのブランコ」に次ぐ交野の観光地にする事。その一歩として、15年間、稼働していなかったプラネタリウムを復活させました。星の観察だけに止まらず、プラネタリウムに宿泊したり、映画やゲームを楽しみたい、というアイデアを取り入れ、他の施設にはない自由な使い方をしていく予定だそう。

最後に、本日の『酒森』のリーダーである「おりひめ大学」の嶺倉さんと、学長の篠崎さんがご登壇。前回は悪天候の中の開催でしたが、今回のフェスでは、「思い描いていた風景を創れた」と、感謝の気持ちを伝える嶺倉さん。そんな風景を見て、「自分もやりたい!」と思う人が出てくるはず。
そして、その想いをしっかりと受け止めてくれる齊藤さんや柏本さん・交野市の協力があれば、2032年にはさらに素晴らしい景色が広がる、と篠崎さんは語ります。

人が繋がる事で、できる事がある。人の力で、変えていける。自然や施設など、交野の資源を生かし整え、そして、人の力を最大限発揮できれば、可能性はまだまだ広がる。市民の意見を受け入れる包容力のある齊藤さんと、まちの問題点を的確に捉える柏本さんがタッグを組む事で、新しい交野市の魅力が発掘される予感。
2032年に向け、お2人の挑戦は続きます!


星の里いわふね 責任者
奈良県出身。フィットネスインストラクターやアスレチックトレーナーを育成する専門学校を卒業後、首都圏・近畿圏で店舗展開するフィットネスクラブに入社。
筋トレ、ストレッチ等の運動指導、エアロビクス等のグループレッスンなど 現場での経験を約15年積んだ後、大阪府下にある企業が計画する大型フィットネスクラブの開業準備のため転職。新規店舗の出店や既存店舗のリニューアルを行う。
その後、病院内でのリハビリテーション、大学のトレーニングルームの運営、総合体育館やスポーツセンターなどの指定管理等を行うトレーナー集団が運営する企業に転職。北海道エリアの責任者として、指定管理業務、介護予防事業、新規現場獲得のための営業等を行う。介護予防の重要性を認識しつつも、介護現場の実情を知る必要性を痛感する。地元奈良に戻り、デイサービスでの介護及びリハビリテーション補助業務、さらには看護師・理学療法士と連携して県内 中南部の市町村の介護予防事業を行う医療機関に転職。要介護状態に陥らないための包括的な取り組みの必要性を再認識する。その中で指定管理事業者が担えることは、運営というレベルに留まらず、様々な人々が交流できる居場所つくりも必要では?との考えから、全国で指定管理事業を行うシンコースポーツ㈱に入社。堺市内の体育館、長居トレーニングセンター及びプール、守口文化センター勤務を経て令和5年4月より 星の里いわふねに赴任。
星の里いわふね

大阪府民の森 統括所長
京都府出身。大学卒業後、司法書士事務所に就職。退職後、児童養護施設の自立支援を行う。
NPO法人の事務局長として就任。業務を通じて得た情報から自身で東大阪市において認可外保育園開園、園長として待機児童30名程を受け入れ。全員の卒園で閉園。
関西国際空港の空港警備員として就職。㈱電通・センコー㈱からお誘いを受けて2014年11月河内長野市道の駅奥河内くろまろの郷初代施設長に就任。イベント企画運営やマネージメント業務に従事し退職。和泉市の青少年の家で指導員として2年勤務し、2022年04月大阪府民の森の指定管理を受けたことで、住友林業緑化㈱よりお誘いを受け
現職に就任。
また、サラリーマンをしながら2008年には任意団体「本郷の家」を設立。2024年3月株式会社に法人化。農と食と体験をコラボした体験教育活動を展開中。
大阪府民の森