2024年4月13日のハイパー縁側@天満橋は、すがわら えみさんをゲストにお迎えしました!
テーマは 「“サンダルバイバイ”を水辺のゴールデンルールに」
大阪市内にお住まいのすがわらさん。本日は、自転車で京阪シティモールまで来られたそう。勤務地が天満橋の時期もあり、すがわらさんにとって天満橋は所縁のあるエリア。悩み事があると、川沿いを歩いて心を整理しながら仕事に向かった、という経験も。夜の天満橋の景色もお気に入りで、新潟から上京してきた自分に対し、「私、すごく頑張ってる!」と鼓舞しながら夜景を眺めていた、と振り返ります。今も天満橋のサップ協会のゴミ拾いに参加したり、天満橋地域との関係も続いていると話します。
すがわらさんは現在、子どもの水難事故の予防から手当までを伝えるNPO法人の代表を務めています。小・中学校で救命教育や水辺の安全について授業をしたり、スイミングスクールで実際にスイムレッスンを行っています。そして、本日のテーマである『サンダルバイバイ』の普及活動にも尽力されています。
幼い頃からスイミングを習い、水に親しんでいたすがわらさんは、将来インストラクターになる事が夢でした。大阪の芸術大学に進学して文章を書く事を学び、いくつか職に就いた後、障害児さんに水泳指導をするNPO法人に就職。インストラクターになる夢を叶えます。結婚後は退職して専業主婦となり、お子さんを出産。育児に専念している中で、夏になると子どもが水難事故で亡くなるというニュースを何度も目にします。
毎年10〜20人の子どもが命を落とし、その数は減少する事がなく、横ばい傾向だそう。今までは「かわいそうやな…」という気持ちで終わっていましたが、すがわらさん自身が親になり、愛おしい子どもの事を想うと、「もっと、気をつけられたはず!」「こんな哀しい事は、減らせる!」と、感じるように。インストラクターをしていたすがわらさんは、水辺で気をつけるべきポイントが分かる事も相まって、我が子を抱きながらモヤモヤと何年間かを過ごした、と語ります。
夏が来る度に、モヤモヤが増していたすがわらさん。「川に遊びに行ったら、親は下流にいないと、子どもが流されてしまった時に助けられないよ」と友人に伝えたり、SNSで発信したりしていました。しかし、自分の知っている範囲にしか伝わらない。もっと広く伝えたい、という想いが強くなり、団体を立ち上げる事を決意します。
2019年の団体立ち上げ時に、クラウドファンディングを達成。さらに、法人化に向けて2度目のクラウドファンディングを計画したのは2021年でした。コロナ禍で学校が休校になったり、それぞれの仕事が大変な時期に支援をお願いするか迷った、とすがわらさんは打ち明けます。しかし、コロナ禍だからこそ、屋外の活動が活発になり、BBQやキャンプが流行し、知識もないままに川辺や海辺で遊ぶ事で、子どもたちが危険な目に合う事も。
また、プールの授業が中止になった学校も多かった時だからこそ、教室で水辺の危険性や、安全に過ごす知識を伝える機会にするべきだと考え、クラウドファンディングに取り組み、法人化を進めていきました。
すがわらさんが、周りの友人だけに止まらず多くの人たちに伝えたい、と団体を立ち上げるパワーの源になっているのは、“水辺で遊ぶ子どもたちのキラキラした笑顔”だと語ります。すがわらさん自身、喘息があり、外で思いっきり遊べませんでした。しかし、水中なら埃がないので、思いっきり遊べる。
「水中って、水泳って、楽しい!」という実体験が根底にあり、同じように、水遊びを楽しそうにする子どもたちの笑顔が心から好きだ、と言います。そんな笑顔が生まれる場所で事故が起きてしまったら、そこはもう事故現場になってしまう。すがわらさんの大好きな水辺、水中をそんな場所にしたくない。だから、自分のできる事は、どんなに小さい事でもしたい、と考えています。
水辺で安全に過ごし「あぁ〜、楽しかったなぁ」と、帰ってもらう事を、プロジェクトミッションとするNPOの正会員は現在11名。ホームページ作成や事務を担当するサポートメンバーも加え、啓発活動を展開しています。法人化してから今年で4年目。
持続する事はやはり大変な事なので、法人を存続させる事がまずは1番大事、とすがわらさんは語ります。
“サンダルバイバイ”
本日のテーマである『サンダルバイバイ』の発起人であるすがわらさん。きっかけは、2年前の6月、流されたサンダルを追いかけて溺れて亡くなってしまう事故が2件も続けて起きた事。「流されたサンダルを追いかけたら、危険」という知識があるか、ないかが、命を落とす分かれ目になってしまいました。知識があれば、何かが流されて追いかけて溺れるというパターンの事故は、純粋にゼロに近づける、と感じたすがわらさんは『サンダルバイバイ』の普及活動をスタートします。
普段から、「これしたらあかん、あれしたらあかん」と言われている子どもたちに、「サンダルを追いかけたらあかん」と伝えるより、子どもにスッと入り覚えやすい言葉はないかと考え思いついたのが、『サンダルバイバイ』というフレーズ。SNSで広げると、反響もあり、事故の減少を期待しました。
しかし、期待も虚しく、サンダルを追いかけた男の子と、溺れた子を助けようとした大人が亡くなるという、同じような事故が起きてしまいました。もっと認知してもらわないといけない。時間をかけ、コンテンツを増やし、緻密に進めていかないといけない、と痛感したそう。
サンダルが流された瞬間に、「追いかけない」と判断するのは、実はとても難しい事。「裸足で帰ったら怒られる」「買ってもらったばっかりなのに…」と、子どもは考えるはず。だからこそ、親子で事前に「サンダルや帽子が流されても追いかけない」という約束をしておく必要性を感じました。そこで、『サンダルバイバイおやこ条約』という条約証書を作成。学校の授業で紹介したり、ライフセービング協会の資料にも掲載してもらい、広める活動をしています。
証書にサインする事で、「サンダルよりも、あなたの命が何より大事だからね」と確認し、子どもも納得する事が、「追いかけない」という一瞬の判断に繋がります。さらには、『サンダルバイバイ』のキャラクターや歌を作り、身近に感じてもらう事で、事故ゼロを目指しています。
また、本日すがわらさんが着用しているアクアシューズだと、脱げる心配がありません。ライフジャケットやアクアシューズなど、予防策を1つでもいいから取り入れる。「溺れてしまってからできる事はない」けれど、「予防策は簡単にできる」と声を大にして、すがわらさんは伝えます。
ここで、小学校の授業で実際にしている『マルバツクイズ』の時間。「お友達が溺れていたら飛び込んで助ける、マルかバツか?」「日本に安全な川は3本しかない?」など、大人も子どもも真剣にクイズに参加。すがわらさんの話をきいた後の子どもたちは、「まずは大人を呼び、通報する事が大事。川に飛び込まない」「安全な川はない」など答え、すがわらさんの話がしっかり伝わっている様子でした。
この夏は、ライフジャケットを着て思いっきり遊ぶ体験をしてほしい。帰り道の車内で「楽しかったー!また来たいねー!」という景色を積み重ねたい。実際にその景色は見えないのだけれど、想像してガッツポースしている、と爽やかに笑顔で語って下さいました!
事故を無くしたいと心から願い、無くせると信じて取り組まれているからこそ、すがわらさんの言葉は響き、大人にも子どもにもダイレクトに伝わってきます。これからも、『サンダルバイバイ』のフレーズが行き渡り、事故が無くなる世の中になるよう発信を続けていただきたいです!
NPO法人AQUAkids safety project(アクアキッズセーフティープロジェクト) 代表理事
〇有資格
日本スポーツ協会公認スポーツリーダー 応急手当普及員、防災士、メンタル心理カウンセラー 子どもの傷害予防リーダーなど
〇経歴
喘息治療のため水泳を3歳で始める
大阪芸術大学芸術学部文芸学科 卒業
株式会社リクルートホールディングス 入社
障がい児水泳指導をするNPO法人へ転職
退職後、結婚、出産、専業主婦として育児を経験
2019年7月 AQUAkids safety project立ち上げ(クラウドファンディング達成)
2021年2月 NPO法人化
2021年3月 ビジネスプラン発表会「LED関西」ファイナリスト
2023年12月 こころのレスキュー大賞2023 グランプリ受賞
NPO法人AQUAkids safety project
#サンダルバイバイ