2024年3月24日のハイパー縁側@私市は、佐藤 歌さんをゲストにお迎えしました!
テーマは 「18再 〜あの時の「歌いたい」が今実現!〜」
3月23、24日の2日間、大阪府交野市私市で「森の中でくつぎと感動を」をテーマに開催された『FORREST FES』。様々な地域のクラフトビールと、交野の地酒を味わえる「酒森」、グルメとクラフトのマルシェが楽しめる「交森」、そして、コロナ世代の学生による音楽祭「歌森」の3つのイベントを同時に開催。
あいにくの雨模様ですが、交野市内・市外から、たくさんの方々が訪れ賑わいます。本日は、前日の23日「歌森」で感動に包まれた『18再』を企画した佐藤さんに、どのような想いで作り上げたイベントなのか、また、交野のまちをどんなまちにしていきたいか、交野への想いも語って頂きます!
佐藤さんは、交野市で育ち、現在は芸術大学1回生。小学生の時に市民大学である、おりひめ大学が主催する『かたのカンヴァス』に出会います。『かたのカンヴァス』は、交野のまち全体を美術館と捉え、アートで自然の魅力を創造する事を狙いとしたイベント。森の中でアートを展示したり、音楽やパフォーマンスを行い、交野の自然を見直し、楽しむ事ができます。何気なく作品づくりや運営に参加した佐藤さんですが、年上の先輩や多世代と人たちとの関わりができて、とても楽しかったと振り返ります。この『かたのカンヴァス』をきっかけに、小6の時におりひめ大学に入学し、現在は7回生になります。
おりひめ大学には、おさけ学科やそば学科など、交野の自然を活かし学べる様々な学科があり、佐藤さんも7年間のうちに色々な学科やイベントを経験してきました。現在は、友人と一緒にカフェ部のリーダーを務めています。交野の特産品でジャムを作ったり、麦芽カスを活用した食品の開発などに取り組んできました。今後のカフェ部の目標は、カレーの店を出店する事なんだとか。
そんな精力的に活動を続ける佐藤さんですが、高校に入学した時は、ちょうどコロナウイルスが蔓延した時期で、様々な事を制限された高校生活を送らざるをえませんでした。それなりに楽しんだ高校生活ではあったけれど、「みんなでひとつの事をやり遂げる」という事ができなかった、と語ります。特に、みんなで歌を歌う機会はなく、卒業式でも合唱ができなかったそう。卒業式間際にはコロナも落ち着いてきたので、先生へのサプライズとして、歌をプレゼントする企画を考えていましたが、実現する事なく終わってしまいました。
佐藤さんが大学に入学し、1ヶ月ほど経った2023年の5月、おりひめ大学の学長である篠崎さんに、「歌ちゃん、今年度は何かやりたい事あるの?」と質問されます。その時、卒業式を含め、学生時代にみんなで歌えなかったかった事が心残りだった佐藤さんは、「やり残した事ができるんじゃないか」「今、歌いたい!」と、みんなで合唱をする『18再』の企画を思いつきます。
『18再』は、ただみんなで合唱曲を歌うのではなく、学生時代をコロナ禍で過ごしたみんなの想いや、モヤモヤした気持ちを、曲にのせて歌う企画。佐藤さんは、交野出身のアーティスト『Charmant coco(しゃるまんここ)』さんに作詞・作曲を依頼し、オリジナル曲を作り上げてもらいました。
『18再』の「再」には、3つの意味があり、
①コロナ禍で奪われた青春を「再び」取り戻す。
②イベントが終わっても、友達と曲の中で「再会」する。
③同世代との交流を通じ、「ここからもう一度がんばろう」と思えるような「再出発」にする。
という想いが込められています。
まずは、『18再』に参加したいという仲間を募集し、みんなの気持ちを拾い集める事からスタート。ところが、9月の最初のワークショップ開催時に集まったのは5人ほど。「見守ってくれていた周りの大人の方が多かったですね…」と、笑う佐藤さん。そこから、メンバーが友達に声をかけ、さらにその友達が友達に声をかけ、徐々に輪が広がっていきます。
5月に『18再』の企画を始動してから、勉強にバイトに忙しい毎日を過ごしながら、それ以外の時間・労力・全てを『18再』に注いできました。しかし、メンバーがすぐには集まらなかったり、思うように企画が進まなくて、「やめた方がいいのかな」と、くじけそうになったタイミングが何度もあった、と打ち明けます。そんな中、学生の想いをきいて、全力で曲作りに取り組むしゃるここさんや、「ワークショップ楽しかった!」と、言ってくれるメンバー、周りで応援してくれるたくさんの方の顔を思い浮かべると、「やりぬかないと!」と、強い気持ちを持ったと語ります。
自身を鼓舞しながら、一歩ずつ実現に向け進む中で、一番苦労したのは、クラウドファンディングでの資金集めでした。簡単に集まらないというのは、承知の上。「赤字が出たら、自分たちのお金をどれくらい出したらカバーできるかなぁ…」と、メンバー内で相談もしていたそう。不安が大きかった分、準備を丁寧に綿密に行なった佐藤さんたち。ページを伝わりやすいように作る事を心がけたり、広報の仕方にも工夫を凝らした、と言います。
実際にスタートしてみると、10日間で見事、目標金額を達成。イベントの趣旨や想いを伝える事の難しさを痛感し、不安だった佐藤さんは、クラファンの結果をみて「こんなに伝わっていたんや!」「こんなに応援してくれた人がたくさんいるんや!」と実感できて、「大感動だった!」と語ります。
おりひめ大学の運営会議で、何度もプレゼンの機会をもらい、想いを伝え続ける事ができた事。『18再』を通じて、新しい繋がりが生まれたと同時に、小学校の先生や学童の先生など、昔の繋がりが再び結ばれ、その繋がりが伝播していった事。
そして、誰一人中途半端な気持ちではなく、丁寧に準備に取り組めた事が、達成できた要因だと考えています。
“自分のやりたい事が、みんなのやりたい事に”
最初は、こんなイベントをやってみたいと、“自分のやりたい事”でしかなかった『18再』。仲間が増えるにつれ、“自分のやりたい事”が、“みんなのやりたい事”になり、自分の為ではなく、みんなの為にやるという想いに変化していきました。「自分の為だけに取り組んでいたら、途中でやめていたかも…」と、感じています。
他人発ではなく、自分発のやりたい事が、みんなのやりたい事になり、実現していく。おりひめ大学は、「みんなのやりたい事を実現する為にある」と、篠崎さんは普段から言いますが、まさにそれを体現した佐藤さん
。自分発だからこそのプレッシャーと戦いながら、人を巻き込む事によって「絶対に成功させたい!」「みんなの為にもやりきる!」という気迫に満ちた努力を続け、たくさんの人の心を動かすイベントを作り上げました。
ここに集まってくれた方、応援してくれた方に、感謝の気持ちでいっぱいと話す佐藤さんですが、最も感謝を伝えたいのは、しゃるここさん、と言います。構想段階の5月に始まり、3月のステージが実現するまで10ヶ月。最初から、自分たちの想いをまっすぐ受け取ってくれるお2人の姿が大好き、と感極まりながら語ります。
数年前の『かたのカンヴァス』のステージで、佐藤さんはしゃるここさんに出会いました。とても綺麗で、かつ力強い歌声。最後は、周りの子どもたちと一緒に歌う姿に感動したそう。そんな、感動を与えてくれたしゃるここさんに『18BLUE』という曲を作ってもらい、一緒に歌い、作り上げた『18再』は、一生心に残るイベントです。
佐藤さんは、おりひめ大学の活動や、『かたのカンヴァス』での経験が、今の自分に繋がっている、と感じています。佐藤さん自身がそうだったように、小さい子が、違う世代の人たちと関われるようなイベントを交野で開催していきたい。交野のまち全体が、色々な人から互いに学び合える学校のような、そんなまちにしていきたい、と語って下さいました!
とても柔らかな物腰と優しい笑顔が印象的ですが、『18BLUE』の歌詞にある「仕方ないで終わらせない」という熱い想いをもつ佐藤さんの、芯の強さと行動力が光っていました。かけがえのない経験を、また1つ重ねた佐藤さん、“自分のやりたい事”を“みんなのやりたい事”に。
これからの活動にも期待が高まります!
大阪芸術大学 芸術計画学科 1回生 / 交野おりひめ大学 7回生
・交野市出身
・小学校、中学校は交野市の公立学校
・高校からは大阪市内の国際系の高校で学びました。
・今は大阪芸術大学芸術計画学科で、プロデュースを総合的に学んでいます!
交野おりひめ大学
FORREST FES In KATANO
18再
かたのカンヴァス