2026年3月24日のハイパー縁側@中山台は、長畑 久美子さんをゲストにお迎えしました!
テーマは「感性を信じ、理想を形にする」
会場となった中山台ニュータウンに移り住み、約50年になるという長畑さん。住み始めてすぐに、150坪にも及ぶ広大なご自宅の庭の手入れを始めました。長畑さんが丹精込めて作り上げる庭は、個人宅や事業所などの庭を公開する『オープンガーデンフェスタ』で、市長賞を受賞するほど。今では、「宝塚市認定ガーデンマスター」に認定され、様々なガーデニング講座でも活躍中です。
また、市の職員として行政や情報発信の現場に携わったり、ラジオのパーソナリティを務めるなど、幅広い活動をされてきました。マイクテストを兼ねて「寒い中お集まりいただき、ありがとうございます!」と、艶やかな声で挨拶されると、会場は一気に華やかな空気で包まれました。
そんな長畑さんの感性の土壌を形作ったのは、生まれ育った岡山県美作市での幼少期にあります。中国山地の山々に囲まれ、日が落ちるのを見て「ああ、もう帰らなきゃ」と思うような、自然と時間が溶け合うような場所で育ちました。時計を忘れて、泥んこになって遊び、四季折々の花や春夏秋冬の行事に親しむ。四季を感じる「豊かな暮らし」が、当たり前だったと長畑さんは振り返ります。
家庭の環境も、日本の伝統文化を大切にする暮らしぶりだったと言います。お雛祭りにはちらし寿司、春には筍ご飯、豆が芽吹けば豆ご飯。お母様が季節を追って作る料理の数々が、長畑さんの繊細な季節感を養いました。
また、幼稚園の頃からバスに揺られて、生け花を習いに行っていた長畑さん。ハサミも上手く使えない小さな手で、お嫁入り前の「お姉さん」たちに混じって花を生けていたのだとか。高校生まで続け、お免状を取得して一旦、生花の世界からは離れましたが、この経験が今の庭づくりへと繋がる、美意識の源流となっています。
高校卒業後は、教員のお父様の影響から、教員を目指す大学へ進学。しかし、田舎の風習が根強く残る地域柄、大学卒業後はすぐ家庭に入るレールが敷かれ、長畑さんは結婚をする事に。結婚を機に千葉などでの生活を経て、約50年前に中山台へと移り住みます。現在の住まいに決めた時、庭の状態は150坪の広大な「ススキの原っぱ」だったそう。これを1人で耕し、木の根を拾うところから庭づくりをスタートさせた、と語ります。
「業者はいれない」というのが長畑さんの強いこだわり。お金をかければ立派なものはできるけれど、それでは自分の楽しみがなくなってしまう。レンガ1枚を敷くのも、歪んでいても構わない。綺麗すぎるのは、好みではない。
そんな手作りの温かみを大切にしながら、コツコツと歳月をかけて作り上げてきた長畑さんの庭。現在、庭には150株ものバラが咲き誇り、その圧倒的なスケールと美しさは、庭雑誌『ガーデン&ガーデン』にも掲載されるほどです。
長畑さんの情熱は、庭づくりだけにとどまりません。もう1つの大きな活動の柱が「料理」です。もともと家族のために、手作りを大切にしていた長畑さん。ある時、美味しいお店の味を自分で再現できるのではないか、と思い立ちます。
うどんを粉から踏んで作ったり、パンを焼いたり、納得がいくまで試作を繰り返してきました。夜中にパン作りが失敗しても「なぜ失敗したのか」を突き止めるために、そのままもう一度作り直すこともあるそう。
そのストイックなまでの追究心は、やがて周囲を動かしました。友人たちを招いた試食会で「これならお店ができる」と背中を押され、自宅で隠れ家的なランチのお店をオープン。宣伝を一切せず、自分の楽しみとして始めたお店でしたが、確かな味と長畑さんの人柄が評判を呼び、なんと2年先まで予約が埋まるほどの人気店となりました。利益を求めるのではなく、「作るのが、ただ楽しい」という純粋な想いが、結果として多くの人を喜ばせる活動へと繋がっています。
アグレッシブに挑戦を続ける長畑さん。今までの人生を振り返ると、1つの言葉で人を傷つけてしまったり、様々な失敗もあると打ち明けます。だからこそ、自身が発する言葉は選び、自分がされて嫌な事は、絶対にしないという事を徹底しているそう。
“しゃあない、また明日”
そんな長畑さんの生き方の根底には、お母様から授かった「しゃあない」という言葉があります。命を取られるほど怖い事以外は、失敗しても「しゃあない、また明日」。お母様の言葉は、齢をとればとるほど思い出される、と言います。その潔い精神が、長畑さんの新しい挑戦を支えています。
現在進行形の挑戦は、庭に可愛い作業小屋「ハイジの小屋」を自力で建てる事。すでに、3畳ほどの土台はできあがっているそう。横に「ブランコも作りたい」と、チャーミングに微笑みます。
便利ではない環境で育ったからこそ培われた「何でも自分で作ってみる」というマインドは、今の便利な世の中で、私たちが忘れてはならない豊かさを教えてくれます。
長畑さんは、「好き」がエネルギーになっている事を実感しています。だから、齢を重ねても、「好き」を求めていきたい、と語ります。また、自分の「好き」だけに力を注ぐのではなく、惜しみなく周囲に共有する長畑さん。周囲と共有する事で生まれる、“優しさの受け答え”が、さらに長畑さんの活力になっています。
庭を見に来る人や、食事を楽しみに来る人々との“優しさの受け答え”は、まさに長畑さんの活力の源。他にも、水墨画を嗜む方や、種から植物を育てる方など、気づけば長畑さんの周りには、「ものを作り出す事」が好きな友人たちばかり。お互いに、刺激を与えたり、与えられたり。人を通じて「好き」のエネルギーが循環している関係性が印象的でした!
自分の「好き」を大切にするだけでなく、周囲の人やものを好きになり、丁寧に真摯に向き合う長畑さんの周りは、幸せで豊かな空気が流れています。
「好き」をとことん突き詰め、「好き」が詰まった長畑さんの生き方。自分の「好き」という感性に真っ直ぐに、失敗を恐れず挑戦し、形にしていく姿は、たくさんの人に勇気を与えてくれます!
ガーデナー
岡山県美作市から中山台ニュータウンに移り住んで50年、二人の子育てを経て、地域に恩返しをしたいと言う思いから、地元議員の秘書や、FM宝塚のパーソナリティ、市役所の臨時職員として10年余り、行政や情報発信の現場に携わる。
その傍らで、クリスマスイルミネーションや、地元食材を使った自宅レストランの運営など、地域の魅力づくりを実践。現在は民生委員として地域の見守り活動を行いながら、庭で育てた約100株のバラを、市主催のガーデンフェスタで披露するなど地域が、より元気になる取り組みを続けている。
