2024年7月25日のハイパー縁側@中津は田中 政靖さんをゲストにお迎えしました!
テーマは 「日本一お洒落な掃除屋さんのおはなし」

田中さんは、堺市ご出身。中学一年生の時からバンド活動を始め、ビジュアル系バンドのヴォーカルを担当していました。メジャーデビューを目指すも、他バンドとの能力差に直面し、「こっちの世界では、無理かも…」と諦め、23才の時にバンドは解散。そこから、先輩の紹介で何となく清掃業のアルバイトを始めた、と言います。
参入障壁が低いと言われる清掃業。実際、始めてみると、店が閉店した後の夜勤の清掃や、下請けの仕事は、とてもハードだったそう。社会的には必要な仕事と感じながらも、夜勤も下請けも楽しくない。「もっと楽しく働きたい」、という想いが強くなってきた田中さんは、独立を志すようになります。

店舗などの清掃ではなく、個人宅のハウスクリーニングやエアコンクリーニング事業に軸足をおき、32才で独立。清掃業のイメージアップを図る田中さんが考えたキャッチコピーは、「日本一お洒落な掃除屋さん」。トレードマークの蝶ネクタイを身につけ、爽やかに清掃サービスを提供しています。家にお邪魔する仕事なので、第一印象はとても重要だと考えています。お客様の中には、「蝶ネクタイで選んだ」という方もいるのだとか。
独立時に産まれたお子さんの名前からインスピレーションを受け、会社の名前は『ビューティフルホームコットン』。客層は、主婦や女性が多い事もあり、柔らかいイメージにしたかったそう。HPには可愛らしいコットンのキャラクターが載っていますが、「ほこりですか?」と聞かれてしまう、と苦笑いします。

エアコン掃除の依頼なら、お客様はエアコンがきれいになる事だけを求めています。しかし、それだけでなく、エアコンがきれいになる事でお客様の気分が上がり、「じゃあ、料理も頑張って作ろうかな」という気持ちになるかもしれない。
そんな、生活がちょっと豊かになる事に寄与できるのではないか、とイメージして働いてる田中さん。エアコン掃除という問題解決以外の部分でも、人の役に立つ事ができる。「“生活の質が上がる”、“暮らしが変わる”」ような役立ち方が嬉しいし楽しい、と語ります。

もともと、田中さんは色々な事に手を出すというよりは、1つの事を突き詰めたいタイプだそう。掃除についても、深く調べていくにつれ、「掃除ってすごい」と、掃除の奥深さに気づいたと言います。だからこそ、清掃業の魅力を伝え、イメージを良くしたい気持ちはより強くなってきました。下請けの仕事になると、「ついでにここも掃除しといて」と頼まれる事も多かったり、単価がはっきり決まってなかったり、メニューにない作業もせざるを得ない事も。
田中さんは、安売りするのではなく、“価値を上げる”という事に意識的に重点を置いている、と語ります。お洒落というのは、“価値を上げる”を実現するために必要な工夫でもあり、イメージアップにもつながっています。

田中さんは、一般社団法人「そうじの学校」を立ち上げ、理事を務めています。毎週土曜日、天王寺のまちでゴミ拾いを行っています。そこから、社会的価値や教育にもつなげていきたい、と子どもたちと一緒にゴミ拾いを始めました。また、掃除のスキルや考え方を取得できる資格制度を発足。現代社会では、女性に比べて中高年の男性が孤立してしまいがち。
そこで、中高年男性が掃除の資格を取得し、そのスキルを地域のために役立てる事を通じて、コミュニティに溶け込んでほしい、と考えています。田中さんは、様々な角度から地域貢献につなげられないか、積極的に行動し、人とつながり、活動の幅を広げています。

能登半島地震が起こった時には、「自分にできる事は何か」を考え、被害地域を訪れ、エアコンクリーニングの支援を行ってきました。「できるのに行かない」よりは、「できるなら行く」という考えのもと行動し、同業者の方へ意識を伝える事ができた、と実感しています。今後、仮設住宅などで、エアコンクリーニングの需要があると感じている田中さん。続けていく事が大切だ、と考えています。
田中さんは、「あらゆる人が認め合い、生き生きと生きられる寛容な社会」を理念に掲げています。仕事とは、誰かの役に立つべき。人を喜ばせる事ができないと仕事ではない。そして、事業を通じてあらゆる人が、役に立つ。現在、福祉の領域でも挑戦を試みている田中さん。障害のある方や作業所の方に、既存の仕事を当てはめるのではなく、楽しみを見出す作業を一緒にしていきたい、と考えています。

「寛容な社会」を目指す田中さんですが、「寛容さ」が、今の日本には欠けているのではないか、と指摘します。一度チャレンジに失敗してしまったら、もうおしまい、というような風潮を窮屈に感じています。古来から日本では、「全てのものに神が宿っている」という思想があり、本来の日本では多様性が認められてきたはず。
その思想の影響や教育的な観点から、日本の学校では子どもたちが自分達で教室やトイレの掃除をします。しかしそれは、西洋にはみられない光景だそう。「使った場所は、きれいにして帰って当たり前」、そんな感覚を持っている日本人は、特殊なのかもしれない、と言います。

“清める”
西洋では、掃除が「罰」や「労働」という意味合いを持つ一方で、日本は「清める」という感覚。掃除をするという行為は、日本人のルーツにつながっている。清掃業をしているという事は、「すごい仕事をしている」と、あるとき実感したと田中さんは力強く語ります。
天王寺のゴミ拾いで出会った高校の先生との縁で、学生に対して外部講師として授業をする事も。そんな時に、日本人ならではの感覚や概念を伝えたり、自身の生き方を話したりする事で、仕事を選ぶ選択肢を増やしてほしい、と願う田中さん。また、人と比較せず自分の軸で生きていく事が1番幸せではないか。頭が柔らかい子供のうちに、掃除を通じてそういう考えを育んでいってほしい、と語ります。
田中さんは、今後ベトナムを始め、海外進出を視野に入れている、と言います。日本の質の高い技術や精神性を、日本に興味を持っている海外の人に伝えていきたい。海外との繋がりを作って、新しい事業に発展させたい、と考えているそう。新しいチャレンジが始まります!

理想をもつのは勝手。みんなが理想をもてばいい。そうすれば社会がもっと楽しく豊かになる、と笑顔で語る姿が印象的でした!
「掃除を通じて何ができるのか」を常に模索しながら、社会にアプローチを続ける田中さんの活躍が、これからも楽しみですね!


株式会社ビューティフルホームコットン 代表取締役 / 一般社団法人そうじの学校 代表理事
1976年生まれ、大阪府堺市出身、大阪市平野区 在住。
キャッチコピーは「日本一お洒落な掃除屋さん」
トレードマークの蝶ネクタイと白パンツで、爽やかにこだわりの清掃サービスを提供しています。
完全分解エアコンクリーニング、ハウスクリーニング、店舗清掃、カーペットクリーニングなどの清掃業務をメインに、店舗の清掃コンサルティング、清掃技術研修やセミナーなども行っています。
最近の活動では、能登半島地震の復興支援として、避難所のエアコンクリーニング支援を行ってきました。
中高生〜23才くらいまでは、元ビジュアル系バンドのvo、25才から清掃業界へ
ボクシングとサラブレッドと歌が好き。
ビューティフルホームコットン
@cleancotton08
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