2025年11月24日のハイパー縁側@三輪は藏座かおりさんをゲストにお迎えしました!
テーマは 「駅の未来と子供達の未来 〜さらに楽しんで子育てが出来るまちへ〜」
三輪生まれの藏座さんは、大神神社や三輪駅を遊び場として育ってきました。そして、藏座さんも三輪で3人のお子さんの子育て真っ最中。自身が卒業した学校に子どもたちが通っているのは感慨深い、と笑顔で語ります。
慣れ親しんだ土地に住み、96才のお婆さまのお風呂のお手伝いをし、「おばあちゃん、今日のご飯美味しかったなぁ!」と、三世代で会話しながら過ごす日常をとても幸せに感じているそう。
そんな藏座さんは、三輪の地域に支えてもらい、大きくなった実感があるので、誰かの支えになりたいと語ります。特に、三輪駅の売店の「藤本のおばちゃん」の存在が大きかった、と振り返ります。学生時代、三輪駅から電車に乗って塾に通っていた藏座さん。学校で嫌な事があり、ブルーな気持ちで向かう日も。そんな時に、おばちゃんの上手な鼻歌が聞こえてきて、「どないしたん?」と声をかけてくれたそう。
「色々あるよなぁ」と寄り添って送り出してくれ、帰ってきたら「おかえり」と、向かい入れてくれたおばちゃん。その温もりを、鮮明に覚えていると言います。親に言いにくい事も、おばちゃんになら言える。「藤本のおばちゃん」のように、明るく楽しく、時には頼ってもらえる「藏座のおばちゃん」になりたい、と笑顔で語ります。
藏座さんの体験から、お子さんには「色々な大人を見なさい」と伝えています。その中で、自分の居場所をうまく構築していってほしい、と願っています。学校が必ずしも全員の居場所だとは限らない。人とのつながりがある事で、「他の場所があるよ」と言葉をかけ合えるかもしれない。つながりは、心を楽にしてくれるのではないか、と考えています。
つながりを大事にする藏座さんが、2年前に設立したのが「子育て支援団体ほほえみ」。コロナ禍で育児ノイローゼになり、無理心中を図った母子のニュースを聞いた事がきっかけでした。当時、お母さん同士で子育ての愚痴を言い合っていた藏座さん。ニュースを耳にし、こんな世界のまま子どもを育て上げ、「子どもを産みや」なんて無責任な事は言えない。
“人と人のつながり”
「子どもが安心して、子育てできる世界にしたい」と、強く感じた藏座さん。「まずは何かやらないと」と、愚痴を言い合っていたお母さんと立ち上がります。
周りのお母さんたちに「何が足りないか」をきくと、「人と接する機会」、答えが返ってきました。また、コロナ禍でイベントが全て中止になっていた時期で、子どもがさみしがっているという声も。
そこで、藏座さんたちは小さな教室を借りて縁日を開催。予想以上の人数が集まり、教室は満杯。みんな孤独だし、人とつながりたいんだ、とつくづく感じたそう。「ほほえみ」では、色々な相談を受けたりもしますが、やはり「触れ合いたい」「話したい」という子育て世代の方が多い、と言います。
つながりたい子ども、つながりたい大人がいる。つながりたい企業の方もいるのではないか、と考えた藏座さん。社会貢献として、子ども支援をしてしたい、と思案中の企業の方に協力してもらい、様々な仕事を子どもたちに紹介する「お仕事万博」というイベントを企画。今まで知らなかった仕事について触れたり、実際に高所作業車をよんだりして、子どもも大人も運営側も、みんなで盛り上がります。
今では、協賛企業は30以上にもなるそう。子どもが大きくなった時に、地域で仕事をしたいと思ってくれたら嬉しい。「藤本のおばちゃん」を目指した藏座さんのように、目標にしたい大人が身近にいると、具体化しやすいのではないか、と藏座さんは言います。
と、ここで「藤本のおばちゃん」や当時の駅の様子の写真を紹介。写真のおばちゃんに向かって「大好き〜」と、満面の笑みの藏座さん。おばちゃんは、大人にも子どもにも好かれていたのだとか。藏座さんは、やっぱり人だ、としみじみ語ります。AIが浸透してきて、答えを即座に導いてくれるようになった昨今だけれど、AIが積み重ねているのは、知識と事象だけ。アイデアが急に天から降ってきたりするのが、人の面白いところ。
また、温もりや誰もが持っている承認欲求が満たされると感じるのは、人と人とが触れ合った時だけではないか、と藏座さんは言います。この世界に住んで、この世界の事を本気で考えているのは人間。“人が、まちも駅も未来もつくっていく”と、力強く語ります。
数年前、たまたま三輪駅近くの貸しスペースで「ほほえみ」の活動をしようとした時に、「さこすて」のメンバーと部屋がブッキング。そこで、「さこすて」の方と出会い、人が人をつなげ、いつの間にか「つば市」の活動にも参画したそう。「さこすて」が三輪駅を中心に活動してくれる事で、地域住民のイマジネーションが湧いてきて、どこから具現化していこうか、と考えるのがとても楽しいと藏座さんは言います。
実行委員会のメンバーは、それぞれ得意分野が違う。だから、みんなが得意な部分を担いながら、同じ方向に向かって走っていく、1つのチームづくりを大切に活動していきたい、と考えています。
これから、駅員さんや駅のメンテナンスをしている方などに、普段の仕事を教えてもらったり制服を借りながら、子どもも大人も一緒に学ぶ機会を作っていきたい。そして、「この三輪駅をどうしていきたいのか」を、地域住民と鉄道会社とみんなで話し合い、創り上げていく事が、藏座さんの野望だそう。5年以内に実現できる、新たな風景が創れると確信しています。
人と向き合う事で、自分が成長できると実感してきた藏座さん。子どもたちと触れ合い、パワーをもらい続け、とびっきりの明るさと包容力、そして人を巻き込む力は、ますます増していきます!
「藤本のおばちゃん」から受け取った温もりは、「藏座のおばちゃん」から子どもたちへ届き、駅を中心にまち全体に広がっていきます!
子育て支援団体ほほえみ 代表
奈良県桜井市三輪出身、保育園、小学校、中学校、高校と桜井。
桜井のサラブレットとして育つ。2022年子育て支援団体ほほえみ設立、代表就任。
奈良子育て支援団体ほほえみ
Connected by さこすて
「さこすて(Sustainable Community Station)」は、ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社が取り組む、地域と共生しながら持続可能な駅づくりを進めるプロジェクトで、駅施設や駅前広場・運営手法・プレイヤー発掘などを見据えた検討や実証実験などを行っています。「さこすてみわ」は、三輪駅を舞台として、駅まちづくりする取り組みです。
