2024年11月24日のハイパー縁側@三輪は太鼓打源五郎さんをゲストにお迎えしました!
テーマは 「初まりの地〜三輪のまちの魅力を伝える〜」

奈良県桜井市・三輪駅前で開催中の「三輪まちなかつば市」。名物三輪そうめんと柿の葉寿司のセット「大和名物合わせ」や、日本酒・クラフトビールなど、三輪ならではの品々が楽しめ、ワークショップなども企画されています。二胡の音色が秋の心地よい風にのり、思い思いに時間を過ごす人々で賑わいをみせています。

「三輪まちなかつば市」実行委員会team・えき班長を務める太鼓打さん(源さん)は、カンカン帽に着物姿でご登壇。「普段着きもの男子」の源さんは、普段から着物姿で過ごしているので、まちの中でも目立つ存在。「悪い事はできません」と、笑います。

源さんは、三輪で生まれ育ちました。奈良県の東側に位置する御杖村で、小学校の教員として働くために三輪を離れます。そこから、小規模小学校を中心に勤め、統合や廃校をたくさん経験した、と言います。地域の人々の“共通の思い出”として学校という場がある。その場が失くなる事は、地域が寂しくなってしまう事に繋がるという事を実感。時代の流れには逆らえないと感じながら、定年退職を迎えたそう。

退職後、御杖村の地域無形財産である民謡や獅子舞などを発掘し、復活させる活動に取り組んできました。また、様々な土地を旅行で訪れ、「いいまちには、いい祭りがある」と気づきます。祭りは賑やかさを生むだけでなく、“地域の人と人をつないでくれる”と源さんは語ります。

そんな中、三輪に住むお母様の体調が気になり、三輪に戻る事に。退職したら「好きな事だけをする」と、心に決めていた源さん。まちづくりに興味をもっていたところ、一昨年から始まった「三輪まちなかつば市」の実行委員会の会議に誘われ、去年から参加しています。

三輪は、素晴らしい素材をもっているまち。そして、多くの「初まりの地」だ、と源さんは話します。まず、大神神社(おおみわじんじゃ)は、日本最古の神社と言われています。大物主大神が、出雲大社の大国主神の別の御霊として、三輪山に鎮まられたと『日本書記』や『古事記』にも記されている事から、「神様をお祀りする事の初まり」と伝えられています。

また、「つば市」は「市の初まり」として記録に残っています。三輪は古くから交通の要衝で、人や物資が集まり、栄えてきました。平安時代に洪水で流され、恵比寿神社がある場所に再興された歴史があり、三輪の恵比寿神社は「日本最古の市場の神」と信仰されてきたそう。

さらに、源さんの後ろに飾られている『日本書紀』に詠まれている和歌を紹介。最後の「幾久幾久」という言葉は、「幾久しく、健康で幸せに過ごせますように」という意味で、日本で最初にできた乾杯の発声。「乾杯の初まり」と、源さんは説明します。

そのように、「初まりの地」であり、様々な魅力的なストーリーに溢れている三輪。その魅力を広めていく為に、何ができるのか。実行委員会の会議では、燃料(お酒)を補給しながら、みんなで妄想を膨らませるそう。

“三輪を好きになる人が増えて欲しい”

「妄想を話せば、周りの人が形にしてくれる」と、源さんは笑顔で語ります。これまで、三輪駅の昔の写真を駅に展示したり、まち中に人を呼び込むための「まち中スタンプラリー」などを企画してきました。そして、ストーリーを語る事で三輪を好きになる人が増えて欲しい、と考えています。

そんな盛り上がりをみせる三輪のまちですが、全国的に問題になっている、空き家問題に直面しているのは同じです。町並みは、学校と同じように人々の“共有の記憶”。駅を含め、趣のある三輪の町並みを大事にして、生かしていきたいと考えています。
そこで、源さんは4月から大学院に入学し、まちづくりについての勉強を始めました。どのように解決していく手立てがあるのか、研究していきたいと意気込みます。

今後、月例に近い頻度で三輪駅でのイベントを開催していく予定です。「妄想大爆発」の内容になっていきそう、と笑います。2月は節分にちなんで、「節分つくもがみ」というイベントを思案中。
節分は冬から春に季節が移ろい、命が再生される時期。つくもがみは、長年使われてきた道具に宿る神様で、そのつくもがみに扮して、まちを練り歩くアイデアです。再生のイメージを重ねながら、現代社会に問題を投げかけるアートイベントにしていきたい、と源さんは考えています。

歴史的に「市場のまち」として、様々な地域の人と関わり、つながり、栄えてきた三輪。源さんは、今は少し内向きになっているのではないか、と指摘します。これから、もっと外とつながりをつくっていく必要がある。その中心に、三輪駅があり、駅とまちとのつながりを感じながら、広げていきたい、と語って下さいました!

三輪の歴史を大切にし、人々の“共通の思い出”や、“共有の記憶”に、寄り添う源さんの姿が印象的でした!生き生きとまちづくり活動を楽しみ、三輪のストーリーを情熱をもちながら穏やかに語る源さん。
「初まりの地」として歩み続ける、これからの三輪が楽しみですね!

【太鼓打源五郎 / 小関 吉浩】
奈良と大和の和菓子応援団 団長 / 三輪まちなか「つば市」実行委員会 teamえき 班長
⚫ 大和の食文化・大和在来野菜研究家
(Wikipedia ライター・奈良の食文化研究会理事・
「きな粉雑煮」命名者・林神社菓餅講世話人)
⚫ 音頭・郷土芸能実践研究家
(桃俣獅子舞保存会・菟田野祭文音頭保存会)
⚫ 普段着きもの男子
⚫ 元宇陀市立榛原西小学校校長
⚫ 大阪公立大学大学院都市経営研究科前期課程学生
著書:
『年がら年中饅頭祭 ―奈良と大和の和菓子巡り旅―』
『奈良にうまいものあり! ―伝えたい郷土の味 100 話―』(共著)
三輪まちなか「つば市」

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さこすてSustainable Community Station)」は、ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社が取り組む、地域と共生しながら持続可能な駅づくりを進めるプロジェクトで、駅施設や駅前広場・運営手法・プレイヤー発掘などを見据えた検討や実証実験などを行っています。「さこすてみわ」は、三輪駅を舞台として、駅まちづくりする取り組みです。